やっぱガツンと行きたかったっすね…最初からグっと行きたかったですね。
―― 逆のパターンは考えませんでしたか?頭ゆっくりと言う感じで。
「あー…、そうっすね、やっぱガツンと行きたかったっすね。やっぱ僕等の良さって勢いで奮い立たせようって気持ちが有るんで、ジワジワと言うよりも最初からグっと行きたかったですね。」
―― 唯一「悲しみのシャボン」は他の楽曲とは違ってミディアム・テンポのバラード調ですね。
「その曲の位置が結構難しかったですね。」
―― それと対照的なBPM300と言う激早な「燈」が「悲しみのシャボン」の前に来てますが、300って言う数字を見ただけで物凄くスピーディーな曲だなって驚きました(笑)
「本当は300無い位なんですけどね(笑)ちょっと言ってみました(笑)」
―― ゆっくりした曲と早い曲を敢えて並べてみたと言うのにはわけがあるんですか?
「そうっすねー。余り1曲1曲が流れない様に、ハっとさせる為にはそう言う曲順がいいかなと思いましたね。結構疲れるんで耳が。あの、ずーっと早いと(笑)その辺りでゆっくりなのもいいかなと言う感じですね。」
―― ゆっくりした楽曲を作ってみようと思ったきっかけは何かあったんですか?
「うーん、きっかけ…。特に早い遅いは意識して作らないですけど、割と曲を作っている中で早くなったり遅くなったりして行くんですけど、「悲しみのシャボン」についてはやってくうちに段々遅くなってったと言う感じですね。」
―― 逆のパターンもありますか?
「ありますね。「戦ぎの手紙」とかは、最初はもっとゆっくりだったんですけど、"風"と言うテーマが出てきたりしてるうちに早くなってったりしました。」
―― 詞を聴いていると、言葉の美しさが目立ちますが、どう言う時に詞が浮かびますか?
「そうですね、やっぱり感動した時とか、涙が出そうになった時…嬉しくても哀しくても…」
―― 詞を作る場所は大体決まってますか?
「まとめる時はやっぱり机に向かいますね。部屋暗くして蝋燭立てて…、あ、蝋燭って言ってもあのヤバイ蝋燭じゃなくて(笑)匂いのする、あの香るやつです(笑)寝るな!って垂らしたりとかはしてません(笑)」
―― (笑)詞の中でも"星"とか"空"と言う言葉が良く出てきますが、詞を作る上で風景は重要視して作っているんですか?
「そうですね、まぁ"星"とか"空"とかも普遍的なものって言うのは、聴く人がそれぞれのイメージを持てるし、言葉って言うのは凄い好きですね。やっぱり風景が見えてくるものって、風景を音楽で提示出来れば、そこにそれぞれ聴き手が立てるじゃないですか。そう言う状況って言うのは僕は凄く好きですね。」
―― 頭の中で情景だったりが浮かんで言葉になって行くと言った感じなんですか?
「はい、そうですね。」
自分は流されたくないって言う気持ちが凄く強くあって…
―― 楽曲は疾走感が有りますが、詞は日々の風景を見つめている(=歩いている)様な気がしますが、それは意識的にそうしているのですか?
「割と自然にこうなったと言えば自然にこうなったんですけどね、まぁ、歩いて人生デカク見りゃ、本当は人生って道を歩いてる中で生まれてくることなんですけどね。で、風景ってものは本当に流れてるものだと思うんですよ、凄いスピードで。そこで自分は流されたくないって言う気持ちが凄く強くあって、1歩1歩しっかり踏んで行きたいなと。」
―― もし流されそうになったらどうしますか?
「うん、やっぱり自分の中をしっかり見つめる事でしょうね。」
―― 楽曲を作る時に、詞と曲はどちらが先に浮かびますか?
「曲先っすね、今は。先にメロディーが出来て、そこからこう、今見ている風景、感じてる事をあてはめて行く感じですね。」
頭の中で考えるのがきっと"俺"…"俺"行かなきゃいけない…、どうすんだ俺!!
―― 詞の中で"僕"と言う代名詞は良く使われてますが、「シャイニング」の中で唯一"俺"と言う代名詞も出てきますが、"僕"と"俺"の使い分けは自分の中でどんな意味がこめられているんですか?聴いている感じだと、"僕"よりも"俺"は陰の部分、裏の部分が表現されている様に感じましたが。
「はい、初めて聞かれました。嬉しいっすね!頭の中で考えるのがきっと"俺"…"俺"…とか…。なんとなくわかりますかね?」
―― 言葉に発しない部分って事ですよね?
「そうですね。やっぱり葛藤してて強い意思を持って行かないといけない時には"俺"って言う…、頑張んなきゃ自分…、"俺"行かなきゃいけない…、どうすんだ俺!!って言う感じですね。」
―― このメロディーは凄くポップですよね。UKのバンドの影響を受けているのかな?って感じがしましたが。
「特に意識はしてないですけど、これは最初作った時にアコギで作ったところがあって、他の曲とかは結構みんなでスタジオ入ってバーッと鳴らしてるんですけど、出だしがそれは若干違う雰囲気が出てきたのかなって気はしますね。」
―― 尊敬するアーティストはいますか?
「バンドを始めようと思ったのは、大学入って最初の頃、まぁ、酒呑んでブラブラしてたんすけど、で、地下のバーみたいな所で"テレヴィジョン"ってバンドの曲が流れてた時に凄い衝撃を受けまして、その地下の感じと曲の雰囲気が凄い合ってたんですけど、NYパンクってものに最初ははまりましたね。」
―― セックス・ピストルズとかではなく?
「ではなくっすね、何かホント不健康な感じ(笑)その不健康な感じが格好良かったわけです(笑)立ち姿が、ジャケットを見てですね、何だこの不健康そうな人間達はと思いましてですね(笑)」
― 同感です(笑)
「で、そこから時代性とかも凄い臭ってくるんですよね。やっぱ不健康で、何か鬱憤があるからこそ曲に出来てるんだろうなって事で共感が有りましたね。」
―― 他にもいますか?
「うーんと、ピクシーズってバンドが好きなんですけど、はみ出し具合が非常に良く、凄い大柄なヴォーカルさんなんですけど、体だけではなくて描く世界観も凄くはみ出てて、メロディーとかもはっきり言ってそんなピッチが正しいとか関係なく、はみ出た部分て言うのが凄く格好良かったですね。やっぱりロックってホント、そのはみ出た部分の格好良さがセンスだと思いますね。話しはとびますが、CHARAさんとか凄い好きなんですけど(笑)エロスを感じるこの妖艶な音楽が好きですね。小学校、中学校の頃は、やっぱりブルーハーツとかですね。同じ男として格好いいなと思いましたね。
―― じゃ、いつか穣児さんもライヴで脱いでしまったりも!?(笑)
「僕がですか?(笑)それは別に憧れてるから一緒にすれば近づけるとは全く思いませんけど。…まぁ、時がくれば(笑)」
―― 「ひかりのまち」と言う映画が好きなんですけれど…
「マイケル・ウィンターボトムですね!僕も好きですよ、あれ。」
―― 孤独を拭い切れない人々が愛を求め孤独の中で闘いながらも前を見て諦めずに生きている心情が良く描かれた映画ですけれど、クラッシュ・イン・アントワープと言うバンド、穣児さんが生み出す詞は、この映画に似た雰囲気を持っている様に感じますが。
「あれもやっぱり都市観って言うか、あれも夜の街ですよね。ロンドンと東京って疾走している街だと思うんですよ。その中で人間が立って生きて行くわけですけど、どんだけ流されないで自分の足で歩いていけるかって言うところが、そう言う感覚に近いんだと思うんですけどね。」
僕は実は孤独は大切な事だと思ってて…
―― やっぱり孤独を感じている人々にメッセージを伝えたいと言う思いはありますか?
「そうっすねー。僕は実は孤独は大切な事だと思ってて、正に世の中がバーっと流れてて、その流れに乗る事は結構簡単な事なんすよね、自分を失くしてその流れに乗ってしまう事は。でもそれの先に実は答えは何も無くてですね、孤独感を感じて、自分の中をとぎ込み掘り下げてった時に、自分の答えって言うのが有ると思うんです。それをやってく事がきっと実は、みんなが行くからこっち行った方がみんなと繋がれるとか出会えるじゃなくて、孤独を感じてる中で、自分の中に実は他人が居たり、こう言う風に苦しんでる人が居ると、自分の中に全部答えが有って、そこを掘り下げていく事が実は出会いだったり、人と繋がる事だったりすると思います。でも結構それは辛い作業ですけど逃げずに受け止めるって事ですよね。」
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