ロンリー・ビートニク→シンガーソングライター 古明地洋哉
2000年のデビュー以来、一貫して「孤独」をテーマとした作品を発表してきたシンガーソングライター古明地洋哉(こめいじひろや)。2003年末に発表された会心作「孤独の音楽」で発表された彼の作品は今作でかつてない程の説得力と内なる輝きを放ち始めている。俄然、目が離せない存在となりつつある古明地洋哉の“孤高の音楽”の世界に是非とも耳を傾けてほしい。
――「君の唄を待っているたくさんの人たちがいる。僕もその一人だ」−佐野元春 これは佐野元春が古明地洋哉に向けて寄せたコメントだ。あの佐野元春にここまで言わしめてしまうアーティストはそうざらにいるものではない。孤独の色彩を帯びた圧倒的な詩の世界観とソングライティングのセンスは兼ねてから音楽ファンの間では高く評価されて来た。ただ「孤独」というある意味、クローズされたテーマゆえにとっつきにくいという印象も否めなかったのではないかと思う。しかしここに来て古明地洋哉の孤独の世界は、聴き手の心のドアをノックするべく、外に向かって開かれつつあるように思えるのだ。 “手書きの手紙”のようなアルバムを作りたかったという3rd アルバム「孤独の音楽」。その言葉のとおりちょっと読みにくかったり、奇麗にまとまっているわけではないけれど、今の古明地洋哉自身がダイレクトに伝わってくる作品に仕上がっている。そのアルバムの中のシングルカットされていない1曲が、各地のラジオ局のチャートを賑わせてしまう、それだけでも珍しい事だというのに地域限定シングルが発売されるてしまうなんて彼の歌に共鳴するリスナーが増え始めている確かな証拠ではないだろうか。 |
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回、熱烈な支持を受けて遂に全国発売された「想いが言葉に変わるとき」。ギターの弾き語りのアルバム収録バージョンとは異なる新録のニューバージョン。ストリングスの入ったバンドアレンジが施される事によって「想いが言葉となるまで見守って行けば良い」というテーマもより説得力を増したように思える。M-2は初の8ビート・ロックチューンとなる「灰と花」。ライブで聴くのが楽しみになりそうな一曲だ。
「ねぇ、エリオット」という語りかけるような歌い出しで始まる7分の超大作、M-3の「untitled#1」は昨年10月に急逝したシンガーソングライターエリオット・スミスに向けて歌われたものだという。聴く者をなんとも切ない気分にさせてしまう印象的な名曲。 孤独という感情を見据えた、彼の歌は決して押し付けがましくもないし、自己憐憫から来るウェットさに溺れてしまっているわけでもない。孤独から目をそらさない事、それは孤独と向き合える強さを持っているということだと聴き手に語りかけてくれるように思える。 古明地洋哉の音楽を支持するムーブメントの波はゆっくりだけれど着実にすぐそこまで来ていると思う。その近づきつつある「孤独の世界」の音を自分の耳で確かめてみてほしい。 (Text By Takahashi)
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