今秋2ndアルバム発表！ケイティー・タンストール来日プロモ速報！

pic : Yuki Kuroyanagi

　去る7月3日夜、都内某所にて、スコットランド出身の気鋭シンガー・ソングライター、ケイティー・タンストールの来日プロモーション・ライヴ・イベントが行われた。第49回グラミー賞“最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス部門”ノミニー、というより、大ヒット映画『プラダを着た悪魔』挿入歌「サドゥンリー・アイ・シー」の歌い手として日本でも一躍知られるところとなった彼女。この日の会場にはそれほど大きくないライヴハウスが当てられていたが、やはり全世界で350万枚以上ものレコード・セールスを誇るマルチミリオン・アーティストの集客力はハンパなく、客席が暗転する頃には、用意されていた椅子席からあぶれた立ち見のお客さん達（かなりの数のマスコミ関係者も含む）が会場の後方をぐるりと取り囲む超満員御礼状態となっていた。

　そうして始まったケイティーのショウケース・ライヴは、彼女の内で静かに燃えるエナジーが音楽と共に自然とあふれ出し客席へと伝わってくるような、とてもとても健康的で前向きな力強さを感じさせるものであった。「私のパフォーマンスには2つの形態があるんだけど、今日はバンドのことは忘れて、ギズモ・シスターズを連れてきたわ」との紹介のとおり、ハンドクラップやタンバリンなども担当するレトロなワンピース姿の2人の女性コーラス隊だけを連れてステージに立ったケイティーは、今秋発表予定の2ndアルバム「ドラスティック・ファンタスティック」に収録される「ホールド・オン」「ホープレス」といった新曲を交えつつ、デビュー作「アイ・トゥ・ザ・テレスコープ」からのお馴染みのナンバーをテンポ良く軽快に披露していく。心地好くハスキーな声、生々しいギターの音色、会場を包み込むフレンドリーな雰囲気…観客と同じ目線でライヴをやってきた人ならではの温かさに満ちた彼女のステージは、観ているだけですがすがしい。

　時に軽いジョークを含めながら気さくにお客さん達に話しかけ、客席の様子にも気を配りつつショウを進めていく彼女の巧みなステージ運びのせいもあって、人気曲「サドゥンリー・アイ・シー」や「ブラック・ホース・アンド・ザ・チェリー・ツリー」が演奏された終盤には“じっとしてられなくなって思わず踊ってしまいました”みたいな感じで体をシェイクさせるお客さん達の姿も結構見られたが、ブルーズやカントリーなどのアメリカン・ルーツ・ミュージックに育まれた生身の声と音だけでここまで人を乗せられるのも、ケイティーの素の個性がそれほど魅力的だからこそ、である。あるいはもしかしたら、ブーツのかかとを蹴ったりギターのボディーを叩いたりして出した音を即席ループさせて鳴らすリズムに、彼女の血に溶け込んでいるであろうアイリッシュ・ダンスやケルティック音楽の要素がにじみ出しているせいもあるかもしれない。ただいずれにしても、シンプルな環境の中でこそ彼女の個性が輝きを増すことははっきりとわかった。

　困難にくじけて泣き言を言うのは簡単だが、立ち向かうには勇気がいる。ケイティーの素直な感情と負けない気持ちがたっぷりこめられた情熱的な歌声を聴いているうちに、なんだかこっちまで元気がわいてくるような気がした。実は会場に足を運んだお客さん達の中にも、同じように感じた人がたくさんいたのではないかと思う。わずか30分ほどのショウケース・ライヴではあったが、ケイティー・タンストールというシンガー・ソングライターがどうしてこれほどの支持を得ているのか、今ならその理由をはっきりと語ることができる。

SETLIST on July 3rd 2007： 1.Hold On（新曲）2.Other Side Of The World 3.Another Place To Fall 4.Hopeless（新曲）5.Minature Disasters 6.Stopping The Love 7.Suddenly I See ---encore--- 8.Black Horse And The Cherry Tree

■ケイティー・タンストール公式ホームページ
http://intl.jp/kt/

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