叙情派エクストリーム・ヘヴィ・メタルの雄、アーク・エネミーが
初のセルフ・カヴァー集「ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル」発表！

(l. to r.) Michael Amott (g), Christopher Amott (g), Angela Gossow (vo), Sharlee D'angelo (b), Daniel Erlandsson (ds)

　その卓越した演奏テクニックと狂おしいほど叙情的なメロディ・センスで当代エクストリーム・ヘヴィ・メタル・シーンにひとかたならぬ影響をもたらした不世出のギタリスト、マイケル・アモット。彼が司令塔を務めるスウェーデンの強豪、アーク・エネミーが、初期の名曲たちを新たなヴォーカル/アレンジで蘇らせたセルフ・カヴァー・アルバム「ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル」を9月30日にリリースする。

　一時ツアー・メンバーを迎えて活動していた時期もあったとはいえ、基本的には2001年発表の4thアルバム「ウェイジズ・オブ・シン」期に完成した最強の5人編成をもって現在も意欲的にキャリアを推し進めている彼ら。すなわち、アンジェラ・ゴソウ(vo)、マイケル・アモット(g)、クリストファー・アモット(g)、シャーリー・ダンジェロ(b)、ダニエル・アーランドソン(ds)の5人だが、古くからのファンならば御存知のとおり、初期のバンドには別のヴォーカリストが在籍していた。マイケルとは80年代末期のカーネイジ時代から付き合いがあった盟友、ヨハン・アクセルソン・リーヴァである。

　カーカスの残り香を感じさせるデビュー作「ブラック・アース」、さらなる成熟を明らかにした2作目「スティグマータ」、リフにもメロディにも普遍的なヘヴィ・メタルの魅力を増量させた3rdアルバム「バーニング・ブリッジズ」。ヨハンを含む初期のラインナップによって作り上げられたこれらの作品たちが、スウェーデンのいちデス・メタル・バンドに過ぎなかったアーク・エネミーに世界制覇への足がかりを与えたことは疑うべくもない。古くからのファンにはよく知られているとおり、ヨハンの派手さに欠けるステージ・パフォーマンスについては以前から評価の分かれるところでもあったが、彼がバンドに果たした貢献のほどは火を見るより明らか。スウェディッシュ・デス・メタルの黎明期からキャリアを積んできたヨハンの、デス・メタル・シンガーとしての個性と実力は決して伊達ではなかったのだ。

　しかし、ヨハンはバンドを後にする。マイケル自身、断腸の思いで決断を下したことを後に明らかにしていたが、世界中のアンダーグラウンド・シーンに支持者を増殖させていた当時のアーク・エネミーにとって、次に狙うべきは当然“よりメジャーなフィールドでの活動”であり“普遍的な魅力を備えたヘヴィ・メタルへの接近”だったわけだから、これはいずれ下されるべき決断であった。かくして“アンダーグラウンドの英雄”と袂を分かち、“世界を目指すバンドのフロントに立つべき逸材”を探し始めた4人は、まもなくドイツ出身の無名の新人、アンジェラ・ゴソウを迎え入れることとなる。

　今でこそ珍しいことではなくなったが、当時、女性シンガーがエクストリーム・メタル・バンドのフロントに立つなどということはほとんど前代未聞のことだったから、アンジェラ加入の報は世界中のメタル・ファンに相当のショックをもって受け止められた。言うまでもなく、反応は賛否両論、喧々諤々である。しかし、過熱するばかりの論争に力づくで終止符を打つかのごとく、アンジェラは、自身に備わるデス・メタル・シンガーとしての優れた能力と華麗なアピアランスを堂々とファンの眼前に叩きつけてみせる。新生アーク・エネミーの第1弾作品となる4作目「ウェイジズ・オブ・シン」がそれだ。

　以降の彼らの活躍については、ここで改めて紹介するまでもないだろう。「アンセムズ・オブ・リベリオン」「ドゥームズデイ・マシーン」「ライズ・オブ・ザ・タイラント」とコンスタントにアルバムを重ね、新機軸を交えながら音楽的な進化と成熟を実践、筋金入りのオールド・ファンを納得させつつ積極的に新しいファンをも獲得していかんとする彼らのアグレッシヴな活動の成果は、各国でのチャート・アクション、プレスによる批評や人気投票、ツアーやフェスティヴァルでの待遇といった身近なところから、メタルコア～ニュー・ウェイヴ・オブ・アメリカン・ヘヴィ・メタルへの音楽的インスピレーションといったグローバルなレベルまで、様々に見て取ることができる。アーク・エネミーは間違いなく、世界で最も知られたエクストリーム・メタル・バンドの1つなのだ。

　そんな彼らの新たな試みが“セルフ・カヴァー・アルバム”という形態になったことは、非常に興味深い。マイケルによれば「アメリカには『ウェイジズ・オブ・シン』を1stアルバムだと思っている人もいる」「『ライズ・オブ・ザ・タイラント』しか知らないキッズもいるようだ」といった誤解に触れることも度々だそうだから、初期の楽曲を現在の演奏で録り直すことで彼らは、新しいファンにも、ヨハン在籍時の歴史や初期のバンドの取り組みについて知ってもらいたかったのかもしれない。流行におもねることなく誠実にバンドを育ててきた彼らのことを考えると、余計にそう思えてくる。

　今秋10月に行われる『LOUD PARK 09』への参戦を正式にアナウンスし、実に12度目（！）となる来日公演を執り行う5人のメタル闘士たち。カテドラルのオープニング・アクトとして、初めて日本のステージに立ってからおよそ13年。マイケルは今でも、世界で最初にアーク・エネミーを認めてくれたのが他ならぬ日本のファンだったことを忘れてはいない。あの時、彼がステージの上で流した涙は本物だった。どれほどビッグになろうとも、どれほどの成功を手に入れようとも、バンドが始まった頃と同じ誠実さでファンに心を尽くすアーク・エネミーからの素敵なプレゼント、ぜひ心から堪能していただきたい。

ザ・ルート・オブ・オール・イーヴィル

アーク・エネミー

2640円(税込)

アルバム CD

2009/09/30 発売

　“リヴァプールの残虐王”と言われた伝説のグラインド・コア/デス・メタル・バンド、カーカスを脱退したマイケル・アモット(g)が新たに結成したアグレッシヴ・へヴィ・メタル・バンド、アーク・エネミー。アンジェラ・ゴソウのヴォーカルで初期の名曲が蘇がえる!
　女性ヴォーカル、アンジェラの加入以前にリリースされた3枚のアルバムから選曲された楽曲を、アンジェラのヴォーカルでリレコーディングしたセルフ・カヴァー・アルバム。

【トラックリスト】
01.- The Root Of All Evil (intro)
02.- Beast Of Man ・・・(2)
03.- The Immortal ・・・(3)
04.- Diva Satanica ・・・(2)
05.- Demonic Science ・・・(3)
06.- Bury Me An Angel ・・・(1)
07.- Dead Inside ・・・(3)
08.- Dark Insanity ・・・(1)
09.- Pilgrim ・・・(3)
10.- Demoniality (instrumental) ・・・(1)
11.- Transmigration Macabre ・・・(1)
12.- Silverwing ・・・(3)
13.- Bridge Of Destiny ・・・(2)

【日本盤ボーナス・トラック】
14.- Wings Of Tomorrow (EUROPE cover)
15.- Walk In The Shadow (QUEENSRYCHE cover)
16.- Bury Me An Angel (live)
17.- The Immortal (live)
18.- Bridge Of Destiny (live)

(1) ・・・1stアルバム「ブラック・アース」からの再録音曲
(2) ・・・2ndアルバム「スティグマータ」からの再録音曲
(3) ・・・3rdアルバム「バーニング・ブリッジズ」からの再録音曲

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DON'T FEAR THE REAPER

ウィッチリー