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ズクナシとはギターボーカルGOODSUNが出身である長野の方言で「めんどうくさがりや」という意味です。私生活がだらしない4人にぴったりだということで命名。
── なるほど。いつ頃から現メンバーで活動をしていたのでしょうか?
大学のサークルで出会って、4人でライブ活動を始めてから3年半ほどになります。
── 『GOTiSOUL』の一曲目からいきなりノック・アウトをくらった様な歌詞でしたけれども、まさか“アイワナビー 成金(ルッキンフォー 砂金)”と唄っているとは思いませんでした(笑)英語っぽさを匂わせた歌いまわしの中に隠されているユーモアに触れた瞬間でもありましたが、どなたが主に詞を考えているんですか?
(笑)主に私です、ボーカルGOODSUNです。すかーんと笑って生きていきたい、そんな私の性格上、ユーモラスな側面は欠かせないところです。
── なるほど(笑)生きる上でユーモアは大事だと思います、同感です。ところで、詞を作る時に一番気にかけている点、苦労する点はどんなところですか?
見えてくる景色や曲に込めたい思いが、歌いたいメロディとハマってくる瞬間がとても大事になってきます。ガチッと合うとさらに曲の世界が広がって色濃くなってゆく。そして4人で同じ世界を感じながら音を出し合うことができる曲になっていくんです。
曲と歌詞はほぼ同時進行で生み出されていきますね。私のうたい回しには英語をのせた方がかっこよくなるだろうけれど、毎日日本語で生活しているから全曲日本語。浮かぶメロディに日本の言葉たちをのせていくのは意外と難しいところだけれど、おもしろいところでもある。日本語の響き方もその歌詞の持つ意味と同じくらい大切にしながら詞づくりを楽しんでいます。
── ジャニス・ジョップリンなんかを彷彿とさせますが影響を受けたアーティストはどなたですか?
特定のアーティストに強く影響を受けたということはないんです。逆に今まで出会ってきたものや自然や人々やその文化、そして音楽たち、全てに影響を受けて今の私たちがあるというか。その中でも好きなグルーヴを昭和歌謡や60's〜70'sのルーツブラックミュージックなどに見つけて4人よく聴いたりするから、ズクナシのサウンドもその世界からもちろん影響は受けていると思う。けれど、それと同じくらい、音楽以外にも絵だとか、彫刻だとか、本だとか、影響を受けているアーティストはたくさんいるんですよ(最近だと4人で岡本太郎さんに影響を受けていたりします)。そしてそばにいる友人、家族、出会う人々、みんなの生き方や持っているエネルギーに私は大きく影響を受けてます。
はずかしながら、「ジャニスに似ている」といわれてから私ジャニスの存在を知ったんです。映像を初めてみたときの感動は忘れられない、背中が打たれました。彼女の響きわたる魂の歌声に私も大きな力をもらっています。
── そうなんですか!?それは驚きです。ジャニスっぽい雰囲気が物凄く漂ってますよ。
今回の『GOTiSOUL』に収録されている曲は全曲とも似た雰囲気を漂わせながらも、ソウルっぽかったり、ファンクっぽかったり、昭和歌謡っぽかったり多彩な印象を受けましたが、曲を作る上でこだわっているジャンルやテイストはありますか?
むしろジャンルの壁を溶かしていくことにこだわっています。それは聴いてきた音楽や生活が全く異なっていた4人だからこそ出来る事だって思っている。一度「ギャルバンなんだからもっと8ビートの曲つくりなよ」っていわれて試みたりしたんですが、こだわろうとするほど4人の持つ癖がどうしても出てしまって全く違うものに(笑)。自然とその日その場で生まれている4人のグルーヴと個性と感情をリアルに出して曲ができているから、すごく人間らしく、バラエティーにとんだ曲たちになるんです。
── 作曲がズクナシとなっていますが、曲作りはどのようにして進められているのですか?
誰かが曲のかけらを持ってきて、それにみんなが合わせていく、次第に同じ景色が見えるようになってきてひとつの作品になります。私が一曲作って行く事も稀にあるけれど、スタジオでのジャム・セッションからできる曲が殆どです。
── そうなんですか。一体感を感じるのは、そう言う初歩的な部分から一体感が成り立っていたからなんですね。『GOTiSOUL』はどんなコンセプトの元に作られましたか?
食べることが大好きなので(笑)どっぷりズクナシでお腹いっぱいになってほしいと思って作ったアルバムです。「音楽は爆発だ」なんて言いながらズクナシの特に濃い、癖のある曲たちを集めてエネルギー溢れる一枚にしようと決めたから、今回は4人がとても潔かったです。レコーディングは唄も一緒に一発録音、ほとんど1日で録ったんですよ。ライブで出しているように今の私たちそのものをぎゅっと濃縮させて録りたかったので。
── 一発録音なんですか!?それにしてはハイ・クォリティーな作品ですね。とてもソウルフルな歌声が特徴的ですしEGO-WRAPPIN'なんかも思い出しますが、どんな歌い手、バンドを目指していますか?
とても人間らしい、人間臭いバンドでいたい。全身で、魂剥き出しで歌い続けていきます。
── 魂剥き出しと言えば、とても迫力のあるLIVEとお聞きしてますが、LIVE中楽しかった事、また、辛かったエピソードなんかがあれば教えて下さい。
ステージ上は4人が爆発するんです。トラブルも多々。でもそれがさらにテンションをあげて、めっちゃくちゃになる。これがたまりません。大きい野外でやるのもすごく気持ちいいし、15人とかでいっぱいになるような小さなところでやるのも大好きです。いろんな楽しみ方を覚えてきましたよ。お客さんが笑う、それで私も笑う、たった1人でも100人でも、聴いてくれる人が目の前にいるから私は全力でライヴをするんです。あ、でもアイドルと一緒に出たときはつらかったですねー・・・お客さん次のアイドル登場に頭がいっぱいで全く興味を示さないので(笑)一応女の子なんですが・・・。
それから4人いつも衣装があるんですが、鍵盤の238が一度衣装を盗まれて(笑)4人おそろいで作ってもらっているから誰かなくしたり忘れたりするとその日はライブ前にあたふたして大変なんです。。。
── 人の衣装を盗むなよ!!って感じですよね(笑)やっぱり色々あるんですね、見えないご苦労話は・・・。“出会いを繋がりにかえていこう”をモットーに活動しているとの事ですが、出会いが素晴らしいと思う瞬間はどんな時ですか?
出会った人々の生き方やエネルギーに触れることは、私たちの大きな原動力なんです。だからとても出会いを大切にしたい。そして出会ったものがどんどん繋がっていく。おもしろいのは、最近初めて出会った人がすでに私の仲間とつながっていたなんてことがよくあるんですよ。「また繋がっちゃったね」って言いながら笑う。繋がったみんなで大きなムーヴメントを起こしていくこと。私たちの夢です。
── あぁ、そう言う繋がりはとても同感です。多いですよね、そう言う繋がり。沢山ありますよ。さて、『GOTiSOUL』の聴き所をずばり教えて下さい。
暑苦しいほど今のズクナシのエネルギーを詰め込みました。着火材というか、みんなにとって元気に笑ってもらえる一枚になったら嬉しい。4人とも不器用だけれどでも心から音楽が好きだって、思い切り楽しんだ音が録れたから。料理と同じようにスローな『カメノユメ』からアッパーな『ざくろ恋唄』までいろんな味を楽しめます。今回はコーラスも多いしゲストも参加したりして本当にごちそうパーティーな作品なの。魂踊る音楽、是非わくわくしながら聴いてほしいと思っています。
── 最後に、ネオ・ウィングを見ているファンの皆様に向けて一言お願いします。
「これをするのが好きなんだ」っていう瞬間、あると思う。それをね、生活の中で大切にして欲しいと思います。誰もが、自分の中に大きなエネルギーを持っている。疲れを癒すのもいいけれど、時にそのエネルギーを沸き起こすことで、明日元気になるって方法もあるから。音楽でもスポーツでも料理でも、好きなことを好きだって言える、やりたいことをできる瞬間がある、その時輝いてる自分を大切にしてほしい。それが私の願いです。ズクナシは今、とことん4人でやりたいことをやってます。一緒に生きることを楽しもう。是非ライブで会いましょう!
── ありがとうございました。
◆BIOGRAPHY
ズクナシ(取材・文 磯山みゆき)