いつからだろう、ふと気づくと日本の音楽シーンの中でヒットチャートを駆け巡る言葉達が“ケータイが鳴らない”とか、“会えない”とか、“メールが来ない”とか、そんなキーワードだけで埋め尽くされてしまったのは。
もちろんそんな気持ちが間違っているとも思わないし、共感するリスナーもたくさんいるのだろう。 そんな音楽シーンの中に一石を投じるようなシンガーソングライターが登場した。 まだCDのリリースはされていないが、現在オンエア中の東京メトロのCMソングで彼の歌声を耳にしているリスナーも多いのではないだろうか。 7/21にリリースされる高橋優のデビューシングル「素晴らしき日常」。 今回のシングルにはカップリングにハートフルなラブソング「8月6日」、そしてボーナストラックには「友へ」のライブバージョンの3曲が収録されている。 一見すると攻撃的な世界観を表現しているように見えがちかもしれないが、彼は世の中をアジテートするために歌を作っているわけではない。 こんな先の見えない時代だからこそ高橋優の歌が必要なのだ。 生温い音楽にすっかりふやけきった我々の耳にガツンと風穴を空けてくれたらと思う。 ◆プロフィール◆ 1983年12月26日生まれ。26歳。秋田県横手市出身。
札幌の大学への進学と同時に路上での弾き語りを始める。 2002年2月 自主制作アルバム「Sepia」を200枚限定で販売。完売。 2007年5月 自主制作アルバム「無言の暴力」を500枚限定で販売。完売。 札幌のインディーズ チャート3週連続1位。 初のワンマンライブ(@札幌COLONY)に200人を動員。 2008年 活動の拠点を東京に。 2009年7月 初の全国流通盤「僕らの平成ロックンロール」発売。 今日思ったことを今日歌う。 目の前の社会、友情、恋愛、性、孤独。歌という名の瓦版にのせて。 言葉、旋律、声。誰にも似ていない。 リアルタイム・シンガーソングライター。初期衝動に導かれ続けながら。 ■Live イベント多数参加予定!
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―― まず最初にシンガーソングライターとして歌を作り始めたきっかけから教えて頂きたいなと思うんですけれども。
高橋:ずっと今でもあるんですけど、小学校ぐらいの時から自分の自由帳みたいなのがありまして、それには自由な絵とか描いていたりとか、たまに字を書いたりとかしていたのがあったんですけど、それがだんだん自分の中での文章になって行って、自分の気持ちを何でも書いて、誰にも見せることはなくても良いから書くっていうノートになって行きました。
高校ぐらいの時にその自由帳に書いている自分の想いを曲にしてみようと思って書き始めたのが最初ですね。
―― では誰かみたいになりたいとか、そういう感じではなかったということですよね。
高橋:そうですね。
―― じゃあ、自然と歌にしてみようかなみたいな感じだったんですか?
高橋:はい。
―― なるほど、ではオリジナルから出発しているということですよね。
高橋:そうですね、でも最初に買ったのは実はエレキギターで、中学校の時にhideさんのコピーとかを個人的に家ではやってたんですよね。
hide with Spread Beaverの「ピンク スパイダー」のコピーとか、それで学校祭とかでも中学校ぐらいからGLAYのコピーバンドをやったりとかしていたんです。
その時は歌を歌ってるだけでギターとかは弾かなかったんですけど、音楽に対しての自分なりのささやかなアプローチというか、そういうのは結構ずっと前からしてはいたんです。そういう活動の中で自然とギターで自分の気持ちを奏でるみたいなふうになって行きましたね。
―― 7月21日にメジャーデビューシングルとなる「素晴らしき日常」がリリースされるんですけれども、以前にインディーズとしてアルバムとかも出されてはいますが、今回メジャーデビューが決まった今のお気持ちというのを聞かせて頂けますか?
高橋:そうですね、今の気持ちは特に何も変わっていないですね。
―― メジャーだからと言って特に気負うこともなくという感じですか?
高橋:出演させて頂く機会とか、ライブが増えたりとか、いろいろ全国を回れるようになったりすることは本当に一重に嬉しくて感謝の気持ちで溢れてるんですけれど、それはそれとしてすごくありがたいけれども自分の心の持ち方としては、何か変わるっていうことは一切ないですね。
―― なるほど、このデビュー曲となる「素晴らしき日常」なんですけれども、こちらは曲を聴かせて頂いて、そして歌詞も見させて頂いて、個人的にはとても強いインパクトを受けた楽曲だったんですよね。この曲はどんなきっかけで生まれたのか教えて頂けますか?
高橋:自分の中ですごくポジティブな面とネガティブな面と両面があるなっていうのがありまして、ちょっと周囲を見渡してみても許せないだとか、もう絶対ダメだ!素晴らしくない、こんな世界なんかって思ってる自分と、いや、この世界は本当に恵まれてて、自分っていうのはすごい最高に良い環境に今生まれんたんだなって思う自分と2人いるというか両面を持っている。
その両方の気持ちをどっちか偏ったような曲を作るのではなくて、それを出来ればネガティブでもポジティブでもなくて、どっちにも響くような歌が書けないものかなと思っていたんです。
時期的には2009年の割と中盤ぐらいから、そういうテーマをずっと考えていまして、それをいろいろ悩んだ結果、形にしたのがこの曲ですね。
―― この曲を今回メジャーデビューシングルとして選んだのは何か意味とかはあったりしましたか?
高橋:楽曲が70曲ぐらいある中で、今の自分が一番切り取られているという意味では一番タイムリーというか、今の自分にとって新鮮なものが出せたような気がするので、これはいち早く聴いてもらおうと思ってシングルに選ばせて頂きました。
―― なるほど、すごいインパクトですよね。
高橋:そうですか、ありがとうございます。
―― 今、こういう歌ってありそうでないなっていう気がしたんですよ。今の時代ってとっても絶望的なんだなって思ったのと同時にその歌の向こうに希望が見えるっていう曲はなかなかないよなって思いました。
今回のシングルは出来上がってみて自分の中でどんな作品になったという想いがありますか?
高橋:自分としては半年ぐらい考えた時間もあったので、言いたいことがたぶん100あるとしたら、その中からどれくらい言えただろうかなっていうのはちょっとわからないんですけど、全部ではないっていう実感は曲を書いた直後からずっとありますね。
100パーセントのものを出せたと思うんですけど、その100パーセントの向こう側がまたもうすぐに始まっていて、またその自分にとっての今あることを切り取っていかないといけないなと。
「素晴らしき日常」にも“きっと”っていう言葉を入れないと自分にはいけなかったし、そういうことってどう思いますかって、今はみなさんに提示しましたっていう段階でしかないというか。
もっと歌いたいことがまだあるなっていうような実感は何となくあります。
―― プロデューサーの箭内道彦さんの言葉で、「高橋は社会をどうこうしようなんて思っていない」ってところが印象的だったんですけれども、確かに歌で世の中を変えてやるぜ!っていうのって、そんな簡単なことじゃないじゃないですか、その中で高橋さんはどんなふうに歌にしているのかなっていうところは、とても興味を持ったんですよね。
インディーズ時代にリリースした「こどものうた」とかも、ある意味とても残酷な日常で、でも実際に起こっているようなことじゃないですか、それを高橋さんはどんな気持ちで歌にされているのかなっていうところを教えて頂けますか?
高橋:自分の中で思っていることというか、ふつふつと湧いている感情とかネガティブなものもポジティブなものもいろいろあると思うんですけど、それが忘れられて行ってどんどん流れるように次から次へとまた感情が湧いて忘れられて、感情が湧いて忘れられて行くっていうことの繰り返しのような気がしてるんです。それを一つ一つ掬い上げてみると、いつも思ってることとかいつも似たようなことで躓いてたりしている気がしたんですよね。
そういうのをちょっと汲み取って歌にしてみると、意外と共感してくれる人がいたり、何かしらのリアクションを返してくれる人がいるような気がしていて。曲作りで一番気をつけているのは一回しか思ったことがないのに、それを曲にしても何か自分にとってはどんどん薄っぺらくなって行くというか、なかなか歌いづらい曲になって行くんです。やっぱり日頃から何回も何回も思っていたり、何回も目にしていたり、テレビのニュースでも雑誌でも良いんですけど、自分が注目していて、何となく気になっていることっていうのがあるんですよ。
これ何だかんだでいつも見てるなとか、気になっちゃってるな、調べちゃってるなっていうものを割と掻き集めたのが「こどものうた」にも少し入っているキーワードだったり、この「素晴らしき日常」にも少しキーワードとして入っているんですけど、自分の身の回りで起こってることとか何となくちょっと遠くで起こってても気になることっていうのは自分の中ですごく勝手に課題になっているというか、それってどういうことだったんだろうとか、どうすることが良かったんだろうかとかっていうのは、いつでもすごく考えています。
そういうことから曲になる場合があって、たぶん「こどものうた」とか「素晴らしき日常」のような曲が出て来ているんだと思いますね。
―― 確かにワイドショーなどでそういうニュースが取り上げられて、朝、テレビを見ている時にはいろんなことを考えていても、例えば学校や会社に行ってたりすると忘れてしまうじゃないですか、そうやって積み重なって行く中で、高橋さんの曲を聴いて、自分の中で積もった中から掘り返されるような、ライブを見ていてハッとさせられたんですよね。
たぶん曲を聴かなかったらまたニュースを見て、大変だなとか、ヒドイなって思ってもまたそれは置き去りにされて、また日常に帰って行くっていう中で敢えて再認識させられるっていうのは、やっぱり高橋さんの歌ならではなのかなっていう気がしました。私達もそこで聴いて何が出来るわけではないけれど、でもハッとさせられることってやっぱり大切だなって思うんですよね。そういうのって今の時代に必要なのかなって気がしますね。
高橋:必要としてもらえるとすごくありがたいですね。
―― カップリング曲の「8月6日」のお話もお伺いさせて頂こうと思うんですけれども、こちら打って変わって恋愛の歌なんですけれども、この曲はすごいストーリー性があるじゃないですか、こちらはどういうところから出来上がったんですか?
高橋:先程お話した自由帳には自分の想像だったり、夢で見たことだったりとか、まぁ、現実のことも含めていろんなことを本当に自由に書いてあるんですけど、いつもはそういう中に書かれていることの断片をどういうふうに切り取って、言葉達をどう調理して曲にしようかっていうことをいつも考えているんですけど、この「8月6日」に関しては割とそこに書かれているものをそのまま曲に持って行ってメロディを付けてみたら、どんなふうになるだろうかなと思って作ってみた曲ですね。
―― いつも歌を書く時には詞が先に出来上がってて、そこに歌を付ける感じなんですか?
高橋:この曲の場合は割とそうですね。
―― ではこの曲の場合はということなんですね。
高橋:はい。
―― なるほど、個人的には最初に歌のストーリーを読んでいた時にはこの二人は別れるのかなと思っていたんですよ。
高橋:おぉ、そうなんですか。
―― えぇ、何となく(笑)、でもこの曲もやっぱり最後はハッピーエンドで終わっているところが良いなと思うんですよね。こちらはいつぐらいに曲にされたりしたんですか?
高橋:この曲を書いたのは実は今年です。今年の1月とかですね。
―― では結構、最近に出来上がった曲なんですね。
高橋:そうですね。
―― この曲をカップリングに持って来たことは何か意図とかメッセージはあったりしましたか?
高橋:基本的に自分は予定調和みたいなのが好きじゃないみたいなところがあって、例えば“高橋優と言えば!”と言って、すごく簡単に例えば“社会を切る!”みたいなことになっても、そういうふうに言ってもらえるのはありがたいんですけど、自分の中にある感情っていうのが光と影なのかポジティブとネガティブなのか、でこぼこなのか、ちょっとわかんないですけど、やっぱり簡単に1つではないし、いろんなものがある。それはそんなに難しいものではないんですけれど、それをシンプルに言葉にして音に乗せたのが曲だと思ってるんです。
「素晴らしき日常」みたいにハイペースじゃないとすごく長い曲になっちゃうぐらい言葉がギューッと羅列された曲もあるけれども、バラードも自分の中ではすごく大事だし、別にニュースで起こった出来事とかが具体的に挙げられているかどうかというところが問題じゃなくて、自分の中で自由に出来て来た曲っていうのを素直に聴いてもらえたら、そして真っ直ぐに届けられたら良いなという意味では「素晴らしき日常」の後にどんな音が鳴れば良いのかなということを考えると、やっぱり「素晴らしき日常」のような曲じゃない方が良いっていうのはあったんですね(笑)。
「素晴らしき日常」、「こどものうた」みたいな感じになっちゃうと、かなりヘヴィー級な内容になっちゃうような気がするんですけど(笑)、上手いこと別のタイプの曲があって、一応「素晴らしき日常」っていう曲の方を今回は表題曲というふうな感じにはしてるんですけど、良ければどっちも聴いて頂いて、3曲目にボーナストラックとかも入るんですけど、その3曲を聴いてもらって、どれにも高橋優の血が流れいてるというか、高橋優という人間がそこに1人いるっていうものを感じてもらえたらなぁと思って、2曲目を「8月6日」にしましたね。
―― なるほど、確かに「素晴らしき日常」、「こどものうた」ってすごい強いメッセージだけだと怖い人なのかなって思ったり、気難しいんじゃないか(笑)とか思ったりしますものね。
高橋:そうですね。そういう面だけだと思われると自分としてはちょっと違うかなという感じですよね。
「8月6日」とかボーナストラックに入っている「友へ〜弾き語りライブ四谷天窓2010.4.23」の方が自分の中では割とメインな感じでピュアなみたいな、自分で言ったらすごく価値が下がっちゃうんですけど(笑)。
―― (笑)。
高橋:そういう面もあるはずなのに、でもどうも気難しく思われがちだし、なんか会ってみたら怖くないんですねとかって言われたりとかすることもよくあるので(笑)、全然怖くないですよっていうアピールするつもりはないですけど、なんかそういう意図というか、その「素晴らしき日常」と相反するまで行かなくても違う色の曲も大声を張り上げて歌っていますっていう名刺にはなったかなと思っていますね。
―― 私も最初怖い人なのかなって思ってました(笑)、最初に宣伝用の写真を拝見した時に口利かないとかだったらどうしようみたいな(笑)。
高橋:あぁ・・・、言われるんですよね(笑)、「・・・特にないです」みたいな。
―― えー!困るみたいな(笑)。
高橋:(笑)
―― でも実際にライブを拝見させて頂いて、そういう面だけはないというか、みんないろいろな面があるじゃないですか、好きな人がいたり、テレビのニュースを見て憤っていたりとか、それを含めて高橋さんとして自身に繋がっている作品だっていうのを今、表しているということですよね。
高橋:そうですね。メジャーデビューっていうことによって、不特定多数の人達に音を届けることになる、もしかしたら会えない人達の手にも届くかもしれない、そう思った時に出来るだけそこにも血が通っていたいというか人間らしさみたいな、人としての高橋優をどこかで見て取ってもらえたら嬉しいなっていうのはすごくあるので、やっぱり「素晴らしき日常」っていうのは僕の中で渾身のつもりで作ってはいるんですけど、それを言えば「8月6日」も渾身だしみたいな思いは自分としてはあります。
―― どちらも大切ですよね。
高橋:はい、すごく、1曲1曲すごく大事に作ってるので。
―― 「8月6日」は恋をしてる男の子の震えるような感情がすごく出ていて聴いていてドキドキしますよね。頑張れー!みたいな。
高橋:あー、嬉しいです!頑張りたくなりますね。
―― これも10代の男の子とかが聴いて共感してくれたら良いなって思いますよね。
高橋:そうですよね。
―― そして3曲目の「友へ」ですが、こちらはインディーズのアルバムの最後に入っている曲ですよね。こちらもとても良い曲ですよね。
今回はこちらの楽曲の弾き語りバージョンが収録されているんですけれども、この曲を敢えてライブバージョンで収録したのはどうしてかなっていうところも教えて頂きたかったんですよね。
高橋:ありがとうございます。今の話に通じる部分があるんですけど、このバージョンはMCも長々と入ってるんですけど(笑)、四谷天窓っていう所でライブをさせてもらって、弾き語りライブだったんですけど。
その四谷天窓でアンコールをしてもらったんですよね。
東京で3年目ぐらいに今なるんですけど、それぐらい住んでアンコールをしてもらったことが東京では初めてだったんですよね。
その日は自分の中でちょっとメモリアル的な日で、自分の中でもかなりすごく熱を込めたライブだったというか、まぁ、ライブは全部すごく必死なんですけど、その日はお客さんとの距離感をいつも以上に縮められたような気がしたライブだったんです。
そこでアンコールに「友へ」を歌ったんですね。
あの空気感っていうか、お客さんのアンコールの手拍子から始まって、僕がなんか余計なことをいろいろ喋って(笑)、「友へ」を最後に歌う。自分の中で「友へ」っていう曲は友達に贈った曲で、すごく大切にしてる曲なんですけど、もし全国のどこかで自分と会ったことない人が初めて手に取って聴いて頂けるとして、1曲目、2曲目を聴いて、もう1曲聴きたいなと思った時にアンコールが始まって僕がいきなり喋り出して弾き語りで歌うっていうシチュエーションってすごい面白いんじゃないかなって思ったのと(笑)、そのシングルを聴いた人にとってもいろんな意味でアンコールも始まるみたいなのって、すごく素敵なことじゃないかなと思うんですよね。
その音源は僕が始めてアンコールで歌った時の緊張感だったりとか喜びだったりとかが、本当そのまま生々しく入ってるんですよね。
そこで「素晴らしき日常」だけ聴いてた人が、この人ちょっと怖いんじゃないかみたいにもし思われたとして、その「友へ」を聴いて頂ければ、そこのMCでは怖くない自分が出ているというか(笑)。
―― (笑)。
高橋:その辺のいろいろな面も含めて最後に「友へ」を聴いてもらうっていうのは、「素晴らしき日常」っていうシングルとして考えた時にも良い締めになるかなっていうふうに思ったんですね。
スタッフの方ともたくさん話をして、いろいろ候補は上がったんですけど、その四谷天窓でやったアンコールのMC入りの「友へ」、そこに何かすごい意味を感じたというか、「素晴らしき日常」から始まり、弾き語りの「友へ」のアンコールで終わるっていうことがなにかすごく今の自分をパッキングしたというか、そういう気がしていて「友へ」にしました。
―― これはアルバムの最後を締め括る中ですごく余韻を感じさせる楽曲だなと思っていたんですね。今回はシングルの最後に収録してまた余韻を持って入るとすれば、この曲が入ることによって作品としてすごくボリュームが出て、より充実した内容になるのかなっていう気がしますよね。
高橋:はい、そうなると嬉しいですね。
―― シングルで初めて高橋さんの作品を手に取る方がそこで余韻を持って他のも聴いてみたいと思うんじゃないかって思います。
高橋:はい、そう思って頂ければ嬉しいです。
そしたらもうリピートって押してもらえれば、もう一回、1曲目からという感じですね(笑)。
―― そうですよね(笑)、本当により多くの方に聴いてほしいですよね。
高橋:はい。
―― お話は変わりますが、高橋さんはいつも作品を作る上で大切にしていることっていうのはどんなことだったりしますか?
高橋:大切にしてるのはそこに自分らしさがある、自分にとって新鮮であること、気持ちの波があるとしたら、ちゃんとそこからよく見極めて汲み取っているかどうかですね。
逆に一番ダメなのが薄っぺらくて自分の中でホントだと思ってないことを歌ってることが一番キケンで自分の中では何て言うんですかね、自殺行為のような作業なんですよね、何も思ってないことを歌うのは。
それは誰のためにもならないというか、そこを逆にすごく自分が噛み砕いた言葉で自分が大事だと思った言葉を使うことによって、体全体で表現出来るし、自信を持って表現出来るし、そこにいらっしゃってくれたお客さんに伝わる気がするんですよね
―― あぁ、なるほど・・・。すごく聞いてみたかったことなんですけれど、高橋さんにとって歌を歌うっていうことはどうことを意味するのかなってライブ見ていて聞いてみたいなって思ったんですよね。
詞を書くとかっていうのは表現の行為の中の一つなんですけれども、それを敢えて歌にして歌う、そして自分の思ってることをストレートにメッセージとして出すというのは高橋さんにとってどういう行為だったりするのかなって。
高橋:やっぱり全身全霊で生きることと等しいような気がしてますね。
いつか死んでしまうとか、いつかこの生活が終わってしまうってなった時に、自分にとっての何が全うすべきことなのかなとか考えた時に、あぁ、自分にはやっぱり歌なんだと思った時があって、その時からやっぱり自分が歌うことっていうのは生きて行くこと、切磋琢磨することだし、全身全霊で自分を磨いて行くことだし、自分を表現することだし。
歌うことで生きてると言って大丈夫だと思います。
―― じゃあ、歌わないと死んじゃいますね。
高橋:一応ちゃんと命は繋いでると思うんですけど、それこそ何のために生きてるのって誰かに聞かれちゃうような人になっちゃうかもしれないというか、ダラーンってなっちゃうかもしれないし、ヘニョヘニョみたいな人になっちゃうかもしれないですよね(笑)。
―― (笑)、それは歌い続けて頂かないといけないですね。
高橋:そうですね、歌うことが大好きです。
―― これから高橋さんの歌があるからって思ってくれる人もきっとたくさん出て来るでしょうから、よりその機会を多く持ってほしいなと思いますね。
高橋:そうですね。そういう人達の存在で自分も助けられるというか、エネルギーになるので、その人達にもそれぞれの日常があって、その中のワンシーンで自分の歌が使われるというか、BGMになったり応援歌になったりしてくれるのなら、それこそ歌っている意味以上に自分が生きている意味があったって思えるぐらい嬉しいことだと思っています。
そういう人達の感想を聴けるのが嬉しいです。
―― 今回のシングルはどんな人達に聴いてもらいたいなと思いますか?
高橋:敢えて言うなら日常を素晴らしくないと思ってる人に聴いてほしいですね(笑)。
どう思うんだろうと。
「素晴らしき日常」って曲が♪麗しき国に生まれすこやかに育んで♪っていう冒頭で始まるんですけど、それが皮肉に聴こえる場合が往々にしてある世の中だと思うんですね、そのどこが麗しき国だよバカヤローみたいなね。
どこまで腐ってるんだよって思ってる人達もいて、僕も時々その中の1人だったりするんですけど、そういう人達が「素晴らしき日常」ってタイトルの歌を聴いた時に何をバカヤローと思って聴いてもらって、聴き終わった時にどういうふうな感想を持ってもらえるかっていうのは聴いてみたいですね。
―― これからラジオとかいろんなところで流れた時にいろんな年代の人が聴くじゃないですか、おじいさんとかもライブハウスに来ないような子達とかも、その時のリアクションっていうのがすごい楽しみだったりしますよね。
高橋:そうですね、今はそれがすごく楽しみです。
―― それでは少し音楽から外れてプライベートなお話をお伺いしようと思うんですけれども、高橋さんは自分自身を客観的に見てどんなタイプの人だったりしますか?
高橋:あぁー、ものすごい小っさい男ですね。
(一同笑)
高橋:(笑)。
―― えー?そうなんですか?(笑)
高橋:はい。
―― ちょっとショックだったんですけど(笑)。
高橋:アハハハ。
―― それってどう小さいんですか?
高橋:うーんと、すごく良く言うと、かなり美化して言うと、人が気づかないところに気づく。
アハハハ、視点で言うところの人が見ていない部分を見ている!みたいなことはよく言われるんですけど、みんなが忘れていることを覚えているみたいに言うと、すごく良いように聞こえて、僕はそれを誇らしく思うんですけど。
それっていうのはかなり美化した言い方で、わかりやすく言うともんのすごく根に持つタイプだし。
―― ハッ!(汗)
高橋:(笑)、はい、細かーいことにショックを受けたり喜んだり落ち込んだりするんですよ。
―― それはあんまり他の人には一瞬は見せないけど、ジッと心に溜めているタイプなんですか?
高橋:はい、そうです。
―― それが歌になるんでしょうかね。
高橋:ま、そういう場合もあるんですけど、ならない場合もありますし。
―― じゃあ、心に溜めて・・・。
高橋:溜め込んで、はい、ただただ1人で寂しい思いをするみたいな。
―― ちょっと見方が変わった気がします。
高橋:そうですか、幻滅なさった感じですか(笑)。
―― いえいえ、大丈夫ですよ(笑)。
(一同笑)
―― 細かいことによく気が付くって言い方は良い表現だなって。
高橋:良い言い方ですよね、僕もそう自分では思ってるんですけど、時々まぁ細かいって言われるんです。
―― きめ細やかなんですよ(笑)。
高橋:きめ細やかです、はい(笑)。
―― なるほど(笑)、では音楽以外で今ハマっているものというのを教えて頂けると。
高橋:今っていうかずっとハマってるんですけれど、映画を観るのが大好きです。
―― お勧めの映画とかあったりしますか?
高橋:すごく人気でありきたりなことで申し訳ないんですけれど「告白」を最近観まして、今もう1位で大人気だと思いますけど、あれはすごく面白かったです。
―― 私も気になっていたので今度観てみようかなと思います。
高橋:すごく良いと思います。
―― では高橋さんにとって宝物というのを一つ教えて頂けると。
高橋:はい、“家族”ですかね。
―― おぉ、愛に溢れた感じですね。
高橋:ありがとうございます!
―― ファンの方は・・・。
高橋:もちろん!もちろん!(笑)
(一同笑)
高橋:ファンの方々はすごく大事なんですけど、どちらかって言うとファンの方々とは今は支え合っているような状態だと思っていて、もちろん大切なんですけど、その大切の度合いが違うというか、宝物というよりは、今は割と自分の中では同士というか、同じ時代を生きている同士、仲間みたいな気持ち、友達みたいな気持ちが強くて、友達って思ったらちょっと大それているというか、おこがましいんですけど、すごく大切な同じ時代を歩んでいる人っていう気持ちなので。
家族っていうのはいずれ自分が養って行かなければいけなかったりとか、自分が守らなきゃいけない存在だと思っているんです。宝物って僕の勝手なイメージでは宝箱とかがあって、その中に仕舞っておきたいもの、あまり人に見せたりとか簡単にしたくないものみたいなふうに捉えちゃってるんで、そういう意味合いで言うと家族は絶対自分が守る、仕舞っておくとか暖めておくみたいなイメージですね。
―― では将来どんなアーティストになりたいか教えて頂けると。
高橋:この「素晴らしき日常」で言うのはちょっと大変なんですけど、僕が歌わなくても会場が歌ってくれているような、そういう雰囲気があるミュージシャン。
もう僕の曲じゃないんですよね、そこには。
みなさんの、聴く人の曲になっていて、もうお前が歌わなくて良い!俺が歌ってやる!みたいな感じに会場が満ち溢れている。
想像なんですけど、そういうところで自分がライブをしている絵はずーっとあるんですよね。
それがいつか現実のものなっていてほしいという願いがすごくあるので、もう行く先々で自分は歌わなくても良いみたいな(笑)、みんな勝手に歌っちゃうんだもんみたいな感じで。
「素晴らしき日常」はちょっと早口なんでなかなか大変だと思うんですけど(笑)、噛んじゃったりして(笑)。
―― それもまた良いんですけどね(笑)。
高橋:(笑)、なかなかみんな奮闘して(笑)。
―― これからたくさん曲を出して頂いてその中でエバーグリーン的な感じでみんな歌ってくれる曲が出て来ると良いですよね。
高橋:そうですね、はい、そういうところはずっと思い描いてます。
―― 楽しみですよね。それではメジャーデビューもされて目標としている夢とか、こういうところでやってみたいとかってあったりしますか?
高橋:こういうところでやってみたいっていうのは実はあまりなくて、大きい会場でやりたいのはもちろんあるんですけど、でもなんか特別あそこでやんなきゃいけないっていう自分でノルマを考えているような気持ちはそんなになくて、ただやっぱり逆言えばどれだけ大きい会場になっても隅っこのお客さんまで楽しんでいるライブがしたいですね。
せっかく来たけどあんまり楽しくなかったなー、期待ハズレだったなーと思って帰られるのは、それだとどんだけ大きい会場でやったって意味がないというか。例えどこでやってても二階席、三階席、一番端っこの席の人までもが、来て良かったなと思えるライブっていうのが出来ないだろうかっていうのはいつも考えてます。
―― 是非いろいろな所でライブをやって頂きたいですよね。では最後にファンのみなさんに向けてのメッセージをお願いします。
高橋:「素晴らしき日常」を聴いて頂いて「8月6日」を聴いて頂いた後にボーナストラックで高橋優がいきなり登場しますから(笑)、そのスピーカーの中に高橋優が登場しちゃうんで、それを聴いて笑うなり怒るなりして頂いて、お前MCなげーよ!とか今回は短くお願いします!とか、もっと喋ってほしいとか是非ライブに言いに来て下さい。
僕は出来るだけライブハウスの中でも地理的なことにおいても、いろんな所で歌いたいと思ってるんで、会いに行きますので是非待っていて下さい。
よろしくお願いします。
―― ありがとうございました。
高橋:ありがとうございました。
(text by takahashi)