―― 音楽を始めたのはいつ頃からですか?
高校一年のときです。
―― バンド結成の経緯を教えて下さい。
三人とも以前は別々のバンドをやってて、タイバンとかで顔見知りで。僕のやってたバンドとドラムのレツがやってたバンドが練習スタジオが一緒で今度飲みに行こうということになり二人で飲みに。そこで音楽の話をするうちにスタジオに入ってみよう!ということになりBassに麻生を誘いました。
三人とも友達だったし音楽に対する価値観も近かったこともあり、初めてのスタジオながら感じるものがありました。そのまま三人でスタジオに入る日々が続き今に至ります。
―― なるほど。自然な流れがあったんですね。バンド名の由来は?
これは麻生が決めました。船舶用語で右側とか優先的にという意味の言葉だそうです。
―― 船舶用語?!なかなか奥深いですね。デビューが決まった時、正直どんな気持ちでしたか?
自分達の作品がしっかりした形でリリースできるということにとても嬉しく思いました。
―― 音楽をやり始めた頃からデビューしようと考えてましたか?
考えてなかったと思います。当時は楽器を鳴らしたり、バンドで曲をプレイするということだけで十分楽しかったから。もちろん今もだけど。
―― “音楽”と言う文字通りの音楽を奏でる事の出来るバンドですね。デビューして音楽の価値観や考え方など、何か変わった事はありましたか?
変わるより確信のほうが大きかったです。Starboardを理解してくれる人達に出会えたこと、Starboardの音楽に共感してくれる人がたくさんいることに気づいたから。
―― なるほど。洋楽的な要素が強いサウンドを響かせるバンドですが、今までどんな音楽のルーツを辿って来たんでしょうか?
僕自身はパンク、グランジ、ニューウェイヴ、UKギターロック、エモ、USモダンロックなど一通りのロックの流れをたどってます。
―― 一番影響を受けたアーティストは?どの部分に影響を受けましたか?
MEGA CITY FOURかも。ギターのサウンド、メロディー、ハーモニー、そして声。当時は全てが好きでした。
―― MEGA CITY FOUR!?まさかこのバンドの名前が出てくるとは思いませんでした。ちょっと熱くなりました(笑)いいバンドですよね。
1stアルバム
『EVERYWHERE YOU GO』を聴いた時、メロディーに説得力があって、メロディー・センスが長けているバンドだなと感じましたが、曲を作る上で重要視している部分はどんなところですか?
日本のバンドが書く曲って一ついいメロディーができたら二番もアレンジや歌詞が変わるだけで同じメロディーを歌ったりしますよね?なんで二番も同じメロディーを歌っているのか考えた方がいいと思うんです。違うもっといいメロディーでもいいし、もう二度と歌う必要のないメロディーかもしれない。
アメリカやイギリスのバンドは二番のAメロが変わってたり、サビがどんどん違うメロディーになっていったりすることがあります。もちろん全ての曲がそうではないですよ。でももし曲に何か足りなかったり、違和感を感じたときにアレンジやイントロも大切だけど、ほんとにこのメロディーでいいのか?なんでここでこのメロディーなのかを考えたりします。
―― それは物凄く共感出来ますね。確かに同じメロディーである必要は無いですもの。しみじみ共感します。
曲作りで苦労する点はどんなところですか?
あんまり苦労はないです。曲を書くのは好きなので。
―― 新作
『If tonight is a scene to be with you』のテーマ、コンセプトは?
けっしてあらすじや出来事を書いたわけではないけど、聴いた人が自分に重ねてみたり、生活の中でヒントになったり少しいつもの景色が変わって見えたり。そんな近くにある作品を目指しました。
―― なるほど。今作で一番強く表現したかった部分はどんなところですか?
もちろんサウンド、歌詞、メロディー、全てです。
―― 日本のエモ系バンドにありがちなのが英語詞ですが、
Starboardは日本語詞ですよね。言葉にこだわりはありますか?
日本語でも英語でも僕はいいと思うんですよ。でも、もし英語で歌ってて英語圏の人にも何語なのか伝わらない英語であるとしたら意味がないと思います。歌ってる言葉が分からないんだから。
当然言葉はこだわりあります。言葉とメロディーが合わさったときの力に自分も何度も考えさせられたことがあるから。
―― 確かにそうですね。意味が伝わらないものを歌っていたとしたら、それはメロディーだけで感じてもらうしかないですからね。歌詞はフィクション?それともノンフィクション?
両方です。もしノンフィクションでも聴いてくれた人それぞれが自分なりにイメージしてもらえれば。
―― 詞はどんな時、どんな場所で書く事が多いですか?
部屋で書きます。一人きりのときに。
―― 詞を書く時、どんなところに注意して書いてますか?
メロディーと同じでホントに書くべくして書きたいと思ってます。数合わせ、埋め合わせ的にはしたくないです。
―― 今作ではピアノや打ち込みのアレンジも加わって、前作よりも世界観が広がった仕上がりになっていますが、楽器の使い方にはどんなこだわりがありますか?
今回はギターテックもついてレコーディングして。どの楽器もですけど最終的な音の良さ、バランスを考えます。仮にとても太い単体では良い音に聴こえるギターの音も全ての楽器や歌が鳴ったとき聴こえなかったり他の音のジャマになってたら意味がないですから。
―― 今作を作る時、前作と変化させたいと思っていた部分はありましたか?
もちろん前作を踏まえてなので前以上のアルバムを!というのはありましたが、制作期間中はこのアルバムを一番いい形に仕上げたいと思ってやってました。
――
『If tonight is a scene to be with you』を作る上で苦労した点、楽しかった点を教えて下さい。
声の調子が悪かった日や体調が優れない日はみんなにも迷惑をかけて悪かったなぁと。楽しかったのは13曲目の打ち込みを仕様した曲は出来上がりが読めなかったので完成したときは、やるなー、Starboard(笑)って思いました。
―― ヴォーカリストたるもの歌声は大切ですもんね。先の読めないものほど完成した時喜びが大きかったりしますよね。レコーディング中の裏話的なものがあったら教えて下さい。
Def Tech、華原朋美、ジュリー、いろんな人が同じスタジオ出入りしてました。
―― マスタリングエンジニアに
JIMMY
EAT WORLDや
GREEN
DAYでも起用された事のある
TED
JENSENを前作同様に起用していますが、どんな経緯で一緒に仕事をする事になったのですか?
TED JENSENはStarboardを担当してる森田という者がアメリカで仕事をしてたときからの知り合いです。
―― なるほど、そんな経緯があったんですね。
TED JENSENと仕事をしていて、どんなところに刺激を受けますか?
自分達が好きなアーティストの多くを手がけているので最初は信じられなかったです。マスタリングって日本でやると時々音圧上げることばかり優先してステレオによっては割れた音になってたりします。TED JENSENはやはり質感を大切にするエンジニアだと思うしStarboardもそれが合ってると思います。
―― 質感は確かに大切ですね。パワーを持続させつつも音の彩りは保つべきですからね。
今作のアルバム・ジャケットは、陽の光加減や色合いが叙情的でとても印象深い仕上がりですが、これはメンバー自身の意図で完成されたものですか?
これはデザイナーの中川さんという方がロシアに行ったとき自分で撮影してきた写真です。まず写真で行こうという案になり日本の空気感ではないものにしたくて。とてもいい写真ですよね。
―― 凄く美しい仕上がりだし、手にとって細かな部分も見てもらいたくなる一枚ですよね。今作の中で一番好きな曲をあげるとしたらどの曲ですか?その理由もお聞かせ下さい。
難しい質問ですね(笑)。「Faster」かな?“いつか錆びついたときは”というフレーズが出てきたときは自分的に驚いたので。
―― この曲の歌詞は本当に頷ける部分が多いので、多くの人に聴いてもらいたい一曲ですね。
LIVEでも3Pバンドとは思えぬ迫力と音の厚みがあってとてもエモーショナルなステージですが、LIVE中はどんなところに神経を集中させているのでしょうか?
レコーディングと同じで全ての音が鳴ったときのベストの状態を考えてます。いつもリズムと歌の聞こえ方には気を使ってます。
―― LIVE中楽しかった事、また、辛かったエピソードなんかがあれば教えて下さい。
ドラムのレツのMCはたまにかなり面白いです。本人のノリで言ってるのでなにを言い出すやら。辛いことは特にないですよ。
―― 人生、時にノリは重要です(笑)今までの中で一番印象に残っているのはいつのLIVEですか?
先日行われた@unitedツアー。あれだけの数の海外アーティストとツアーを廻るのは初めてだったし、本当に仲間になれた感じがしたから。
―― 豪華なメンバーでしたよね。しかも国内外のエモーショナルなバンドを数多く堪能出来るとは・・・。見なきゃ損だぞ!!と、見てない人に言ってやりたくなる様な・・・(笑)そんなイベントでした。バンドで苦労する部分、楽しい部分はどんなところですか?
苦労する部分は体調管理。楽しい部分は曲作りを三人でしていて、ある瞬間景色が開けたように曲が完成に向かっていくとき。
―― バンドの魅力ってどういうところにあると思いますか?ソロ活動には興味はありますか?
やはり換えのきかない三人だからこそ鳴らせる音や曲。ソロには今のところ興味はないです。
―― 今後、楽曲を作る時やLIVEで共演してみたいアーティストは?
やはり自分がリスペクトするアーティストは共演してみたいです。JIMMY EAT WORLDとか。
―― 今まで対バンした中で刺激を受けたアーティストは?どんな所に刺激を受けましたか?
Daphne Loves Derby。日本のライブシーンを見てるとライブの爆発力やテクニック、完成度ばかり注目してる気がするけど、バンドアンサンブルでのダイナミズムもあるし、そこにはしっかりした歌が鳴ってた。
―― なるほど。野望はありますか?
ないですよ。いい曲を創り続けたい。
―― メンバーに望む事はありますか?
特に。これからもよろしくで!
―― 次回作の構想はもう練り始めていたりするんでしょうか?どんなものになりそうですか?
数曲しか出来てないですが、いい曲が上がってますよ。方向性が大きく変わったりはしないですが、そのときに自分達が夢中になってる音に影響されたりはあると思います。
―― 次回作も期待大!!ですね。音楽をやめようと思った事はありませんか?
ないです。
―― あなたにとっての“音楽”とは何ですか?
テレビは見なくても音楽を聴かない日はないです。
―― 音楽以外に挑戦してみたい事はありますか?
以前、福岡のCROSS-FMで番組をやってたことがあって。ラジオのDJなんですが、またやりたい。今度はもっと本格的に。
―― 楽しみにしてます。最近ハマっている事を教えて下さい。
映画。最近またよく見るようになりました。「LAST
DAYS」はどーなんですかね?
――
「LAST
DAYS」はですねぇ、、、って、感想を述べるわけには行かないので(笑)これから観る方の為に、カートの映画でもニルヴァーナの映画でもない、あくまでモチーフ、それを忘れるな!!・・・と言った感じですね。逆に、アーティストである今村君に見て頂いて、感想を聞いてみたいので、見に行ったら教えて下さい(笑)
それでは最後に、ネオ・ウィングを見ているファンに向けてメッセージをお願いします。
もしニューアルバムを聴いてくれてる人がいたら、ほんとうにありがとーです。大切な一枚になってくれれば。
これから聴く人へ。何度も聴ける素敵な歌がたくさん入ってます。もし、いい歌を探してたら試しに聴いてみてください。では。
―― ありがとうございました。