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槇原敬之「Heart to Heart」特集
槇原敬之A写
7月27日、前作より約1年振りとなる槇原敬之の待望のニューアルバムが届けられました。
アルバムのタイトルはその名も「Heart to Heart」。
そして槇原敬之独自レーベルであるBuppu Labelからの初のオリジナルアルバムという、記念すべき作品でもある今作。

アルバムのタイトルが指し示すように今回のアルバムは“心と心の繋がりの大切さ”、“普段何気なく使われているものへの感謝”がテーマ。

JR東日本東北新幹線新青森開業キャンペーン『MY FIRST AOMORI』CMソング「林檎の花」や配信限定シングル「Remember My Name」はもちろんのこと、Backstreet Boysのニック・カーターへの提供曲のセルフ・カバー「Jewel In Our Hearts(Japanese Ver.)」、軽やかなラテンサウンドが印象的な「犬はアイスが大好きだ」や一度聴くとサビのフレーズが忘れられなくなる、日テレ系列昼帯番組『ヒルナンデス!』のオープニングテーマ曲である「LUNCH TIME WARS」など、槇原敬之ならではの素敵サウンドが目白押しの11曲の楽曲が収められています。

そして今回、特筆すべきはアルバムのテーマの中核をなす楽曲でもある「Appreciation」、「White Lie」などリアルなメッセージが色濃く反映された楽曲が収められているということ。
紡がれた言葉の数々から、彼自身が今この瞬間、リスナーにダイレクトに伝えたいのだという切なる想いが伝わって来る楽曲となっています。

いつもの彼らしいハートフルな作風はそのままに、アーティストとしての純粋な想いが昇華され、それが作品の中に明確な形で反映されている。今回のアルバム「Heart to Heart」は、彼の長いキャリアの中でもフックとなる作品となっているのではないでしょうか。

日々、流れて行く日常の中で、つい忘れがちになってしまう大切なこと。
彼はいつの日も様々なサウンドに乗せて、時に真剣に、時にチャーミングに、大切な何かを気づかせてくれるような歌を歌ってくれていたように思います。

彼が真摯な想いで作り上げたニューアルバム「Heart to Heart」から発せられるメッセージは、きっとあなたの心の奥深くにダイレクトに届くことでしょう。

今、こんな時代だからこそ、手に取ってもらいたい1枚です。


MAKIHARANORIYUKI.COM
(槇原敬之公式サイト)

http://www.makiharanoriyuki.com/

◆プロフィール◆

槇原敬之
出身地:大阪府高槻市
血液型:O型

■Live:
Makihara Noriyuki Concert Tour 2011-12 "Heart to Heart"決定!

公演スケジュール等、詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい。


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槇原敬之「Heart to Heart」インタビュー

―― 7月27日に槇原さんの独自レーベルである「Buppu Label」からの初のオリジナルアルバムとなるニューアルバム「Heart to Heart」がリリースされますが、まずはアルバムが完成した今のお気持ちを教えて頂けますか?

槇原:今年のアルバムに関しては、毎年そうなんですけど本当に悔いが残ってないというか、「時間がなくて、この曲は入れられなかった」とかもなくて、今すごく自分が感じているものが形になったかなと思います。かなり気に入っていますね。

―― 以前の作品も聴かせて頂いていますが、今回のアルバムはすごくニュートラルな印象がありました。ただ歌詞を読ませて頂いて、槇原さんが言いたいこと、メッセージというのはキチンとストレートに歌っていて、尚且つちょっと懐かしいメロディーもあったりしてすごくバラエティに富んで充実したアルバムになっているんじゃないかなと思いましたね。

槇原:「太陽」っていうアルバムを作ってから、ずっとある目指している部分っていうのがあって、いわゆるライフソング、大きな意味では“ラブソング”なんですけれども、僕達が今、抱えている問題も含めての歌っていうんですか。
楽しい歌だけじゃなくて、いろんな意味で「もっともっと実用的に歌を使ってもらえるための歌」というか、そういうものをずっと書きながら、そしてみんなが僕の音楽で良いと思ってくれているポップスな部分というのが合体したものが、いつかちゃんと出来れば良いなとはずっと思ってやって来てはいたんですよ。

僕の作品は詞先だったりもするし、その詞の重さ軽さみたいなものだったり、そういうのに割と時には左右されたり、時には乗ってみたり、反ってみたりとかしながら作って、振り返ってみて今回のアルバムで「10年やるとここまで来れるなみたいな」のは思いましたね。
まぁまぁ、近づいて来たなみたいな (笑)。

ポップな感じが伝わってたとしたら嬉しいです。

―― えぇ、今回は歌詞を先に全部見させて頂いたので、すごく言葉というものが個人的にとても重要な感じだったんですよね。やっぱり今更ながらに驚いたのが、歌詞って普通は意外と抽象的で言葉の羅列で直接的には意味がわからなかったり、ニュアンスで解釈したりするものが多いものですよね。でも今回のアルバムの歌詞は全部歌詞で詩としても読めるんですよね。

槇原:嬉しいです、そうなんですよね、そこをすごく大事にして書いていますね。



例えば「何ベクレル」とかずっとみんな心配してるけど、たぶんそれを心配するよりももっと違うことを心配した方が良いんじゃないのかな

―― 今回のアルバムの構想は前々から出来ていたりしたんですか?

槇原:もちろんずっと温めていた曲とかもあったりするんですけども、やっぱり一番の影響っていうのが、今回の震災だったんですよ。それで3月11日に丁度、僕はあの揺れている中で「LUNCH TIME WARS」を書いていたんです。

その時にはもっと短絡的に考えていたけれど、実際問題はすごく大きな問題になっていて、少々のことがあってもここまで街が機能しなくなったことって、今まで僕は東京で感じたことがなかったので、でもそれが肉感的に伝わって来るわけですよ。

で、そうなった時に僕は、今、インターネットだとか配信だとか、そういうものも発達している今、これを良い形で利用しない手はないなと思ったんです。

これはあくまで自分の中でのテーマだったんですけど、これはたぶん長い時間いろいろな問題が続くだろうなと思った時に、この2011年というこの時に素っ頓狂なアルバムを出したくないなっていうのがすごくあって、だからほとんどの曲が震災以降に書いている詞が多いんですよね。

20代の頃っていうのは「みんなで遊びに行く時も一緒に連れて行ってほしい音楽」みたいな感じに作ってたんですけど、最近の10年間のテーマとして「頭が痛くなって薬箱を開けた時に入ってる曲」みたいなぐらいの感じで良いから作りたいっていうのがずっとあって、毎日はいらないし、どっちかっていうと普通に元気な時に聴いたら、ちょっとウザイけど、何かあった時にこれがあったって思ってもらえる曲を書きたいってずっと思ってたんですよ。

まさにその時がやって来たんだけれども、今回やっぱり僕にとってもすごいショックが強かったんですよ。

そして丁度シングルの「林檎の花」のリリース日が震災の日だったんですよね。しかも東北新幹線新青森の曲だったので、不思議なというか。
ただあまりにも起こってることが大きすぎてしまって、どちらかというとそれは後から気づいたというか、「あぁ、あれ今日そういえば発売日だ!」みたいな。
でも何かその時にどうなって行くんだろうって。
大体リリースなんか出来ちゃうのかなっていうところもあったんですけど、だんだん雲が晴れて見えて来て、それで書き始めて行く中で出来て行った曲が多いというか。

その時にずーっと世の中のテレビを観ていて、もちろん被災地の光景を観るのはとても辛いものはありましたが、でもそれ以上にもっと僕の心が荒んでしまったものがあったんですね。
今まで散々世話になっているものに対してすごく批判的なことを言っている人達の言葉を聞いて、そっちの方がモヤモヤして来るというか。

例えば誰かのことを悪くして自分達が良い思いをするような時代なんてもう終わらせた方が良いじゃないですか。
例えば自分がケガをしたのは自分の身の振る舞いが大きいだけなのに、ここに机があったから悪いんだって思っちゃうような自分がいるのを押し殺しながら人間は生きて行くのが大事だと思うんです。

僕も反省することも多々ありますが、みんなそうやって生きて行けたらなっていうことをずっと思っていた。 今回それが顕著に表れた感じがして。
例えば「何ベクレル」とかずっとみんな心配してるけど、たぶんそれを心配するよりももっと違うことを心配した方が良いんじゃないのかなって思いながら曲を書いたんです。

―― なるほど。

槇原:要するに地震を装置のミスでしたとか、誰々の読み間違いでしたとか人は言うけど、そんなんじゃないと思うんです。たぶん感謝することが足りないから失うわけですよ。

僕も正直仕事がしにくくなったし、寒いし、節電どうなっちゃうの?みたいな、でもそんな中で曲を作りながら、すごく自分の中で省みる時間がもらえたというか。
「そういえば今まで電気とか普通に使ってたな」と思って、食べ物もそう、水もそうですよ。ドキッとしましたよね、その時に考え直さないといけないタイミングなのかもなぁって思ったんだけど、そういうのは全く聞こえて来なくて。

それは変な意味じゃなくて、そういう言葉がもっと世の中から聞こえて来たら良いのになぁ、自分で自信が持てるのになぁって思ってたんです。
ニュースでは批判的な言葉しか聞こえて来ないのが、自分の中で余計にでも逆に火をつけましたね。

昔、「GREEN DAYS」の曲をプロデュースしてくれた須藤晃さんとよく話していたんですが、須藤さんは「日本を含めこれからの世界を変えて行くのは、文芸だったり芸術だったり、音楽だったり、それなんだよ」ってずっとおっしゃってたんですね。

その言葉がすごい頭の中でバーッと響いて来て、人の人生を救えるかわかんないけれど、でもその人の人生の5分間、10分間、アルバムで50分間ぐらいもらって、聴いてもらう時間を使って何を自分は歌うべきなのかなっていうのを考えた時に出たのが今回のアルバムになったというか。

そうした時に美輪明宏さんがたまたまテレビに出ていらっしゃって、「美輪さん、今の日本に必要なものって何ですか?」という問いに、何の迷いもなく一言、「感謝よ!」って。

その時に“あぁ、美輪さん!”って心の中で思って。
そういう心持ちから人間ってインスピレーションを受けているような気がするんですよ。
そういう時代にそろそろなって行っても良いんじゃないかなと思うんです。

要するに「Heart to Heart」っていうのは最初は“人と人との心の繋がり”ということだったんですが、それはもう災害の時に電話も繋がらないっていう時、心の繋がりって何だろうとか、そういうところから始まってだんだん人間以外のものと人間の心の繋がりにもなって行ったんですよ。

人間は自分を必ず真ん中に置いて、それで価値基準を決めるじゃないですか。だけど考えてみたら宇宙飛行士の野口さんが宇宙から撮った写真とかを見てると、人間ってこの中の一部なんだよなと思ったんです。
どちらかというと自然の中のたったこんなぐらいの生き物でしかないなと思った時に、もちろん自分のちっぽけさっていうのも含めなんだけど、自然と僕達って同じ存在感なんだと、別に人間が偉いのではなく、それをもっと突き詰めて行くと、物って喋れないけど人間と物は心は通じ合うんだなっていうことがわかりました。

そのヒントになったのが、うちの会社のマネージャーの河合君という子が持っているハサミだったんですよ。 その河合君の持っているハサミは小学校の名札が付いてたんです。
だからもうおおよそ20年ぐらいそのハサミを使っているのに、とてもキレイで切れ味もちゃんとしていて。

それで何か自分の中でバシッと「僕の考えいることは絶対に間違っているか合っているかわかんないけれど、良いかもしんない!」と思って(笑)。
要するに思いをかけるからこそ物は自分達に力をくれるけれど、「当たり前だぁ!」と思ってたら、そりゃ物だってイヤだよねっていうところになって。

人と人は繋がるけど、人と物も繋がるんだよね。って言いながら僕も昔、「Ver.1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY」っていうアルバムを作っていたときMacを使っていたんですが、Macってよく昔壊れたんですよね。
でも「今日は頑張ってねぇー!」って言ってやると、1日バッチリ動いたことにヒントを得て作ったものなんですよ。

Heart to Heart [DVD付初回限定盤] こういうミクロの世界だったり、自分達が何もないと思ってる世界に実はものを感じる存在がいるのではないかっていう。
精霊というふうに言ってしまえばそれまでなんですけど、「THE DIGITAL COWBOY」はデジタルの番人だったんですね。
それも思い出して、あっ、なんだ、これ前にも自分は思ってたんだ!って(笑)。これをもう一回ちゃんと作ろうと思って、出来たのが今回のアルバムなんです。

―― 前作が「不安の中に手を突っ込んで」でしたよね?あの頃は何となく漠然とした不安感って日本ではあって、そういうものが作品の中にも反映されいた気がしたんですね。

槇原:ありましたよね。

―― 何となくちょっとずつダメになって行く日本っていう感じがしてたんですけど、それからここに震災とか大きい何かがあって、それじゃイカン!って思っての、この作品なのかなと思いましたね。

槇原:まさしくそれだと思います。要は悪いところを切ってみたんですね。
切らないで外から見て、悪いんじゃないかな?ぐらいに思ってたところも切って出しちゃうみたいな、僕は世の中がそうなった感じがするんですね。
だからどこが膿んでいるのか、どこが病んでいるのかっていうのを押し隠して生きているのにもそろそろ限界が来たというか。

変な話ですが僕は神様っているなって思ったのもあるんです。
やっぱりこういうことが起こったっていうことは、何か本当に気づけるじゃないですか。
悪いこととか僕達にとって必要なものとは何か、それを気づけるチャンスをもらえてるだけまだ良いかなと思って。まさに「不安の中に手を突っ込んで」の時に、ホントでもえも言われぬ何か不安感はあったんですよね。

―― 確かに、確かに。

槇原:そう今思い返すとね、だからある種それがバーッと噴き出した感じのものを自分の中で目の当たりにしたから、このアルバムが出来たんでしょうね。

―― だから今回のアルバムって全部の曲の中に感謝したりとかありがとうって言ったりと前向きなものが多いんですね。

槇原:多いですね。“感謝”ってすごい言葉が固くて、今までは使いづらかったんですけど、今回ちょっとクセになっちゃって、良い言葉だなーって思って。

でもアルバムで使ったことのない言葉だったんで心配だったんですけど、エンジニアの方に聴かせたら、「なんか槇原さんが“感謝”とかって歌ってると良いっすね」って言ってくれて(笑)。

「あ、ホントー?」なんて、そういうのも嬉しかったですね(笑)。
今まで歌わなかったことは良くなかったなと、でもこれもタイミングなんですよね。
だからやっぱり自分との闘いでしたね。

―― でも出来上がったらこんなに素敵なアルバムが。

槇原:意外とポップになっちゃったんですよね(笑)。

―― どれもとても素敵な楽曲ですが、個人的には「犬はアイスが大好きだ」が好きですね。

槇原:嬉しいですー!

―― 確かに分け合って食べると美味しいなぁって思いますものね。でも犬がアイスを食べるって初めて知りました(笑)。

槇原:食べます、低脂肪のものに限るんですけどね(笑)。

―― そうなんですね、この曲はとてもポップだし、サビのところラテンなんですよね。

槇原:なんでかラテンになっちゃうんですよね(笑)。すごい自分でも不思議でしょうがなくて。

―― 今までラテンの楽曲ってなかったですよね?

槇原:はい、しかもあそこまでモロなのもね(笑)。

―― もうフリフリな服を着てる感じですよね(笑)。

槇原:そうそう。レコーディングに来て下さったミュージシャン全員に、「フリルが付いてる袖を付けてる気持ちでやって下さい」みたいな(笑)。それでやったんですけど、でも実を言うとその曲も地震がなかったら書かなかった歌で、一時期みんなが異様に買い占めちゃってるようなニュースを横目に見ながら書いた歌だったんですよ。

―― あぁ、なるほど。

槇原:なんかどうなんだろう?みたいな、犬は分け合おうとせず取られまいとするので、犬と一緒だよ?って思って。
でもうちは結構、犬と分けるの実践してるしなとか思って、だからいろんな形に曲が変わって行ってるんですよね。


「ここすごい良い国なんだから!!」って、「すごい素敵な国だから、あなた達がしっかりほしい!」みたいな(笑)。

―― では今まで世の中で起きたことが、ポップな楽曲に昇華されているんですね。

槇原:はい、フィルタリングされたというかね、面白いですよね。

―― どの楽曲の歌詞も重くはないので、スッと聴ける感じがしますよね。

槇原:嬉しいです、中には結構迷った曲もあるんですが。
日本人って歌手のことをアーティストって言うじゃないですか。
アーティストって呼ばれてるんだったらこの迷ってることもやっても良いかなと思って。

人の顔色を見て表現を止めるなんて、アーティストって言われてるのに何か違うな!!みたいな感じがあって、もうだからとにかく表現しようと。ただその表現するのにはとにかくギリギリまでの時間いっぱい!使おうと思いましたね。

―― でもTwitterを見ると結構速いペースで曲が出来ていましたよね。

槇原:結構、速かったですよね。

―― あれ、もう出来たの?って(笑)。

槇原:僕、曲を作るのは速いんですよ。ただ、詞を作るのはもうその苦しくて、苦しくて・・・。苦しいんです作詞って。

―― 苦しんでるんですか、作詞の時って!!

槇原:はい、ほんっとに苦しいんです。 たぶん一番苦しい作業だと思います。

―― えぇー、意外です。

槇原:それを聴き手の人が聴いて苦しんでないっぽく聴かせるまでに持って行くのが一番大変というか、たわいもなく感じるまでの詞になるまでがすごい時間が掛かるんです。
それで毎回、毎回、うぅーんって言いながら書いてるんですけど、曲を付ける作業になると、すごい楽しいんですよね、その反動というか。
書いている時からもうちょっと詞にメロディーがちょっと乗ってる感じがするので、後はそれをズルズル出しながら、どんなアレンジにしようかなみたいな。

―― そうなんですね、意外と逆なのかと思っていました。

槇原:全然。曲はもうホント楽しくて。
ただ他の方に曲だけ提供するとかってなるとすごい悩むんです。
あくまで自分の詞を書いてそこに曲を当てる時の作曲に限っては楽しいです。

―― そうなんですね、初めて知りました。今回のアルバムでは「Appreciation」や「White Lie」の2曲はメッセージ性の強い楽曲ですよね。

槇原:ですね。さっき冒頭で言ったことを美しくちょっとぼやけさせて書くと、日本人ってある種感性が強いんで、自分に良いように取っちゃうんですね。
でもこれは僕の感情でも何でもなくて、僕の意見なんだけれど、人間って「絶対こう思うんだ」ってみんな心の中で絶対そう思ってる。
だからでしょ?感謝してる人はきっと今そういう生活になってないはずだよっていうところが確信としてあるんです。

僕はネットで辞書検索するのが好きで、“感謝”って調べたら、“Appreciation”って出て来たんですけど、よく別の意味ってあるじゃないですか。その時にもう1個すごく好きな言葉が出て来て、“真の価値を認める”って意味って出て来たんです。
もうまさにそういうことだと。
物の真の価値がわからないからみんな当たり前だと思っちゃうんだなと思って。なかなか良い訳が付いてるなと思いましたね(笑)。

何かそういうことにまた押されて詞を書いたりするんですけどね。
また「White Lie」に関しても“方便”という意味があって。
仏教用語で言うところの“方便”っていうのは、「時には良い方向に人を向けさせるために、本当とは違うことを言って教えを説く」とかっていう仏教派生の言葉なんですけど、奥様方って間違って使うんですよね。

―― (笑)。

槇原:「ウソも方便って言うじゃない、あなた」みたいな(笑)。

―― (笑)。

槇原:それは悪いウソですからね(笑)。 調べたら“White Lie”って出て来て、ちょっと無理くりっぽいけど「良いな」って思って(笑)。

―― (笑)。今までって槇原さんは自分自身のことに対する歌は結構ストレートに歌詞を書いていらっしゃってて、今回のように世の中で起こってることとかシチュエーションとかストーリーを作って歌われることが多かったですよね。

槇原:うん、そうですね。

―― でも今回は本当にストレートに歌詞の中に“原子炉”という言葉が出て来たりとか、そういうのは初めてなんじゃないかなと思うんですよね。

槇原:そうですね、もう歌うまでドキドキでしたね。
でも若いメンバーが揃って、その中に一人すごく僕の歌詞や曲が好きな子がいて、出来た時に「Appreciation」の歌詞を見せたんです。
「どう?」って聞いたら、「うーん、すごく強いですけど好きです!」って言ってくれたから、じゃあ、これにするよ!って言って。“老いては子に従え”じゃないですけど、若い人の意見も今回すごい聞きましたね。今回、プロデュースに立ち会ってもらった徳田さんにも詞を見せた時「まぁ、槇原君の声で行けば何とかなるんじゃないかな」と言ってもらえて(笑)。
「忘れてたそこだ!」みたいな。あんまり自分の声って自分ではわからないので、「じゃあ、これぐらいのことを書いても良いのかも・・・」って思って書きましたね。

―― このアルバムの核になっている思うんですよ。

槇原:そうですね。

―― これが伝えたいことだという印象があるので、だからこの曲の歌詞はハッキリ歌う必要があったのかなと思いますね。

槇原:嬉しいです、こういう強い歌詞を書いたけど、本当に僕はすごく日本が好きなんです。ずっと日本を見てくれている外国の人達もとても愛しているし、本当に良い国だと思うんです。

遺伝子が知ってる本来の日本というか、「いろんなものの中に神様がいたりとかするんだよ」とか「これは大事にしなくちゃいけないんだよ」とか、昔おじいさん、おばあさんに教えてもらっていたような教育がある国ってほとんどないんですよ。

そんな素敵なところで育って来たのに、日本の悪いところは“新しいもの好き”なんですよね。
だから新しいものが入って来ちゃうとついつい古いものをちょっと置き去りにしちゃうんだけど、そういう感情が出たのは僕の中で初めてでしたね。

だから常に僕達なんかは自分なりに改めて行こうと思うんですけれども、それだけじゃないだろうと子供に言わなくちゃいけないことがあるんだって思ったし。
だって子供のうちに教えておかないと大人になって疑わないでしょう?
そういう“優しい気持ち”と僕は一言で言ってるんですけど、もし神様というものがいて、その人の生き様を見た時に可愛い生き方してるな、こいつ可愛らしいな、もうこいつ可愛いから、いろんなことしちゃうよ助けちゃうよって思われるような生き方を、かつての日本はしてた感があるんですよ。

僕達ギリギリ昭和40年代なんですけど、たぶんここから世の中はえらい変わって行ったんですよ。責任とは思ってないんですが、そのことはちゃんと歌わなくちゃダメだなって思って。
丁度僕と同い年ぐらいの人達がもう子供を産んでるんですが、その子達が逆に僕のそういう思いを確実に受け止めてくれてたりするのも、あぁ、嬉しいなぁって思いますね。

でもいよいよ真に迫る時代になるんじゃないかと思います。
本当にその真偽というか世の中の成り立ちとかそういうものに、これっていよいよ真理に根ざした生き方を人間がして行く方向になって来たんだなって思います。
本当に大っきい声で歌いながら伝えて行きたいですよね。
「ここすごい良い国なんだから!!」って、「すごい素敵な国だから、あなた達がしっかりほしい!」みたいな(笑)。
もうちょっと僕達が諦めないでいると、今の若い子達とかが黙っちゃいないのかもなと思って。

―― そこに期待したいですよね。

槇原:そう、それの応援みたいなものをこのアルバムで、そしてこれからのアルバムでして行きたいなと思うんです。
本当に須藤晃さんが言った言葉、「文芸、文学、芸術、音楽っていうのが、これからの世界を牽引して行くんだよ」って言ったその言葉を重く受け止めて僕達はやって行くべきだと思います

―― このアルバムはたぶんずっと残りますよ。

槇原:いやいや、嬉しいです。あんまり褒められたことないので嬉しいですね(笑)。
でもなんか残って害にならないものを作りたいですよね。
何年経っても変わらないことってある気がしますよね、大事なことってね。

―― だってこういう大切な気持ちっていうか、道徳の気持ちっていうのはずっとこれからも変わらないですからね。

槇原:同感ですよ、本当、道徳心ですよね。

―― それがすごく今回アルバムに反映されている感じがしますよね。

槇原:嬉しいです、ありがとうございます。
僕はタイトルを付けるのが才能がないんで(笑)、いつも最後まで悩むんですけど、「Heart to Heart」っていうタイトルは徳田さんに「今回の僕のアルバムに関して何か方向性とかタイトルとかありますか?」って言ったら、まだ地震とか起こる前ですよ、もう即答で“Heart to Heart”って一言出たんですよ。

「Heart to Heartですかー?」って、最初は何かのキャッチフレーズみたいでイヤだなって言ってたんですけど(笑)、それが地震が起こった時に急に輪郭がハッキリ見えて来て、今これぐらいが丁度良いって思ったんです。
もっと不思議だったのが「Remember My Name」という曲なんですけど、実は地震の前に書いているんですよ。

―― そうなんですか!

槇原:丁度去年の11月ぐらいに中外製薬“CHUGAI ONCOLOGY”「ある医師の一日」という、医薬品会社の会社の中でがんと闘っている人を応援しているお医者さん達に向けてプレゼンするDVD用に曲を作ったんですけど、なかなか難しいテーマだけど「頑張って書こう」と思って書いた曲だったんです。

丁度、地震の何日か後にTBSラジオの「Kakiiin」の番組をやっていて、水曜日のレギュラーだったんですけれども、ずっとそういうムードでもないかという中で、僕の水曜日になって一度この曲を出してみませんかということになって、ラジオって中波だといろんな所に届くので、思いがけない所にも届いたりすると思って、「何か僕の出来ることがあったら喜んで」って言ったんです。

でも行く前に「この『Remember My Name』っていう曲は5月に発売だよね?」って話になって、これはとる人にとったらすごく辛い歌になったり、ある種、僕がなんかとってもダークネスに金儲けしてる感じに聴こえちゃうかもねっていう、どうしよう・・・ってなった時に、「でも今日、かけよう」って話なったんですよ、だからリリースよりも2ヶ月早くかけさせてもらうことが出来たんです。

あの地震があった後、「僕が海の中に心が沈んで行くけど、僕はそれを拾いに行くよ」なんて歌詞を偶然にしてもちょっと凄過ぎるなと自分で怖くなっちゃいました。
だからその時に「林檎の花」が3月11日に発売だった、その後に「Remember My Name」が出来ていたっていうことが、何かすごく自分の中を真空状態にしてくれました。

心の中が静かになりましたね、もう何もあらがわないでおこうと、こうやって何かに引かれながら音楽を作って行こうって感じました。
なにか、えも言われぬ体験でしたよね。

―― 何かいろいろなものがインスピレーションというか象徴的な感じで起こっていますよね。

槇原:「cELEBRATION 2010」が終わった後、アルバムがあって、地震があってとか、もうとにかく我が出る暇がなかったんですよ。

―― そうなんですね。

槇原:良い意味でね。ちょっとでも人間って我があると、「もうちょっと良い表現しちゃおうかな」なんて思う、その我が出ちゃうじゃないですか。
要するに作品自体の本質を問われることが目的だったり、それが人に届くことが目的なのに、そうじゃなくて、俺の表現が良いって言われたいとか・・・。
なっちゃうんですよ、アーティストって!(笑)。

―― なるほど・・・。「Remember My Name」についてもお聞きしようと思っていましたが、とても耳に残る楽曲ですよね。

槇原:あんまり海である必要がないじゃないですか。
しかも盛り上がってて、ちょっと今回は海サウンドだよなんて言って、ギターの佐橋さんにも「今回は海だから」って、それしか言わないっていう(笑)。
「なんかずっと全体的に漂っているような大きい・・・。僕、以前にダイビングをやったことがあって、上は潮鳴りがすごいんですけど、下に行くとすごい静かで、なにかそういう感じで」なんて説明をして、本当に最初はそういう感じで作っただけだったんですけどね。

―― 結局、意図して作っていないのものも結果的にアルバムに収められたらキッチリ作品のテーマに沿っている楽曲だったということですよね。

槇原:やっぱり我が出る暇がなかったから!アハハハ。

(一同笑)

―― そうなんですね(笑)。

槇原:もう断言出来ますね、我を出して得をすることなんてないですよね。
良いでしょう!って聴かせると、みんな、ウーン・・・って言うもんね。
だけど、あぁぁ、もうどうしようって、もう時間ないし、書かなくちゃ、頑張って作んなきゃ・・・・っていう感じで出来たものは、出来上がってみると、結果的にこれ良くない?とかってなるですよね。
「どんなときも。」とかそうでしたね。
このメロディ、あんまり好きじゃないなぁ、でも頭から消えないしなぁと思って、そうやって作ったら友達が「これ良いね!」って言い出して、アレ!?みたいな(笑)。
そういうところは客観的に見ると音楽的センスないのかもみたいな、アハハハ。要するにそれぐらい逆ですよね。

―― え?そうなんですか!?

槇原:そうなんですよ、本当逆ですよね。

―― 意外とそういうものなんでしょうかね?

槇原:えぇ。だけど20年やって、やっと「あぁ、ちょっと調整が取れるかも」みたいになって来たけど、それはそれは我との闘いなので(笑)。

―― (笑)。

槇原:あぁ、またこんなこと書いて、そのテーマ忘れてる!みたいな(笑)。
この一行を書くために何時間使ったんだ僕!みたいな、そして出来上がって、見たら全くテーマが違ってるとかね(笑)。
ダメだぁぁー!って。

―― そんなふうに作っていらっしゃるとは知りませんでした(笑)。

槇原:おかしいですよね。
客観的になる時と入っちゃう時の時間がもう頭来るんですよね、その自分にね。そんな聴き流されるに決まってるのにみたいな(笑)。

しかも今回も「Jewel In Our Hearts(Japanese Ver.)」なんかサビのところで犬みたいに頭を振って水しぶきを飛ばして、女の子はスカートの裾を冗談みたいに絞る格好をして、雨なんかに降られてもどうってことない二人がいるわけですよ。

そこは結構軽い気持ちで書いてたんだけど、小貫さんというライターさんにそこの歌詞が良いって言われて、「へぇー、わからないもんだなぁ」って。
要するに作り手の作っている時の感覚って全く当てにならないですよね。

―― これ、良いでしょう?って書いていると意外とそうでもないということですよね?

槇原:ダメですね!全ダメですね(笑)。

―― そうなんですね。

槇原:はい!

―― えぇー、ベテランの槇原さんが言うとなんだかすごく・・・。

槇原:アハハハ、笑えるでしょう!?
全ダメですよ、「林檎の花」なんて、何かの曲を作った時のついでに作ったんですよ。
でもすごい好きなテーマの曲が出来たなって思ったんですね。
やっぱり我があるとダメですよね。
「あぁ、もうどうしようかな」ぐらいで良いぐらい?(笑)

(一同笑)

―― いやー、そうだったんですね、「林檎の花」も泣ける良い曲ですよね。

槇原:だから僕の我が書いてないから良い曲なんですよ、たぶん伝わり方が。
僕がホントに、これ、良いぞぉぉ〜!って書いてたら、たぶんあぁいう曲にならなかったと思いますね。

でもこれは変な話で、人から見たらやってることはどっちも僕じゃないですか。
でもそれは何か書く人の感覚ならではの感じなんだなぁと思うんですけど、なんか降りて来たとかそういう以前に“人間”って我が強すぎで(笑)。

だからさっき仰ったみたいにニュートラルになるということは至難の技だし、その瞑想するということで雑念を捨てるというか、何も考えないって一番考えちゃうじゃないですか。
だからそれぐらい難しいんだけど、そうなっちゃった時って、そうなるのは別に頭の中が空になるわけじゃないんだなと、その我欲がなくなる時なんだなって、最近やっとわかったんです(笑)。

(一同笑)

槇原:それでもしかするとパッと詞を作り終わって、で、曲も付いて、はぁー終わったって瞬間にお腹が鳴りますよね、グーって。
だから不思議なんですよ、面白い、ヨガやってるみたいですよね(笑)。

―― そんなふうに作っていたとは露知らず(笑)。

槇原:はい、そうなんです(笑)。
まぁ、もちろんそれがスタジオワークになると、もう本当に楽しいですけどね、いわゆる一番みんなで共有出来るクリエイティブな雰囲気というか。

―― blogでもたくさんアップしていただいていましたよね。

槇原:はい。僕、blog不精なものでエンジニアの滝澤さんがですね、ミュージシャンの方が来たらすぐに、はい!カメラって(笑)。
はい、頑張りまーすって撮影して更新をしていました。

―― 確かにちょっと前まで更新がなかったなと気になってたんです(笑)。

槇原:そうなんです(笑)。人に見てもらいたいような自分のことってあんまりないなって思っちゃうんですよね、僕。

―― そうですか?

槇原:でもそれも我欲なんですよね。
でも意外とニュートラルに、「あぁもうなんか今日、腹立つ」とかって書いたことが、結構みんながハラハラなっちゃって、書くことって不思議なトレーニングですよね。

―― そうですよね。個人的には美味しいもの情報に注目していますので、これからも更新を楽しみにしていますね(笑)。

槇原:ここ1年いろいろと情報を収集したのでアップして行きます!(笑)


驚かせて飽きさせたくないんじゃなくて、深みにハマらせていきたいというか・・・。

―― (笑)。アルバムのお話に戻ろうとかと思いますが、この作品は今後長い目で見て振り返ったら、ある意味、槇原さんのターニングポイント的な作品になるのかなという感じがしますね。

槇原:うん、まさにそうだと思います。
ファンの子達みんなに言ってるのは、「太陽」というアルバムを作った時とすごく似ている感じがすると。
作っている時の気持ちがすごく「太陽」の時に近いなぁと思ってるんです。
だから何かの節目だったんでしょうね、僕にとっても。

―― でもきっとこれからこれをきっかけに良い作品が出来るんじゃないなかなぁと。

槇原:そういう期待を持ってもらえるのは嬉しいなぁ。
聴いてくれる人を飽きさせたくないですよね。それも何かど真ん中で飽きさせたくないんですよね。驚かせて飽きさせたくないんじゃなくて、深みにハマらせていきたいというか・・・。

それは僕が日常感じている、「生きているということって、実はもうちょっと手を伸ばして掴むと、うわ!まだ奥がある!」みたいな面白さを感じる、奥深さだったり美しさがあったりすることを、本当に聴いてくれている人と共有出来ることが一番だなぁって思います。

なんて言ったってやっぱり42歳になって、倍にして大体84とかになって、後これだけ同じくらい生きたら死ぬんだってことを感じた時に、やっぱり人生の時間の大切さを感じるし、そうした時に僕が大体みんなから貸してもらう5分40秒ぐらいという時間っていうのを考えるようになって来たからかもしれませんけどね。

「あー!損した!」とか、「あー!笑って最高!」みたいなのは良いですけど、何も考えなかったらどうしようみたいな、そういうことじゃなくて本当に僕と5分40秒喋ったり、「どう思う?これって」っていう時間を、僕が死ぬまで続けて行けるのって素敵だなと思いますね。

―― なるほど、そうですよね。個人的には槇原さんの曲をずっと聴き続けて来て、槇原さんの曲は“つきあいの長いお友達”のような存在だったりするんですよね。

槇原:あぁー、嬉しい、嬉しい!

―― 時にハッとすること言ってくれたり、時に大丈夫?って言ってくれる感じが昔からあって、だからこれからもそういうふうなスタンスで聴き続けるんだろうなって思います。

槇原:もう、絶対それで行きたいと思います。
社員旅行でハワイに行ってプロデューサーの徳田さんといろいろ話した時に、最終的にどうなりたいかなぁっていうのを冗談みたいに話してて、綾小路きみまろさんみたいになりたいなってなったわけですよ(笑)。

(一同笑)

槇原:要はみんな年を取ってじいちゃん、ばあちゃんになっちゃうんだけど、でもすっごいその人達をいっぱい楽しく笑わせてコンサートをして、ちょっと歌って、みたいに最終的になりたいなぁ。 あと近々、作るんだとしたら、「ホットフラッシュ」ってタイトルのディスコアルバムを作ろうかとね(笑)。

(一同笑)

槇原:40歳から80歳までの方対象の更年期障害を乗り切るためのアルバムみたいな(笑)。 「ホットフラッシュ」ってすごくディスコナンバーっぽいでしょう?(笑)

(一同笑)

―― 確かにディスコナンバーっぽいかも(笑)。

槇原:(笑)、そういう付き合い方をファンとして行きたいです。

―― それは私達もとても楽しみです(笑)。

槇原:じゃあ、頑張って作ります(笑)。
逆に言うと僕も聴いて下さっている人達の胸をやっと借りれるようになって来たんですよ。

前までは自分が頑張らなくちゃ、自分が頑張らなくちゃって勝手に気負ってた。でも今回はホントに頼った。 20年間なのか、10年なのか、1年なのか、5日なのかわからないけれど、その僕の音楽を今聴いてくれた人達の胸を借りましたね。

で、スタッフにも借りた、要するにそれがすごく気持ち良かった。
やっと人として動き始めたのかもしれないですね。身勝手に俺が一人で頑張らなくちゃ!って思ってるうちって、なんかとても“人”じゃないのかも。

去年フランスに行ったからなんですけど、パリの人って上手に人のことを頼るなぁって思って。日本だったらちょっとお前いい加減にしろよぐらいに頼ってくるんですけど、なんか人のことを頼るっていうことが特別なことじゃないって素敵だなって思って帰って来たんですよ。

その時に出来ないことは出来ないって言うし、頑張りたいと思うことは頑張りたいって言えるし、待っててねっていうことも言えるし。
なんかそれも随分、ファンと僕との勝手な自分の中での距離感っていうのはすごい縮んだかもしれないですね。 本当にみんなに寄り掛からせてもらいながら生きてるし、みんなに頼って、みんなの胸を借りてこのアルバムを作りました。

―― ずっと今までも「僕はこう思うんだよね、君はどう思う?」というふうに歌っていらっしゃいましたが、それはやっぱり「アーティスト」と「ファン」という壁があったので、そこの壁の差が激しかったのかなと。

槇原:うん、激しかったと思いますね。
でも変な話、だからこういう言い方をしたら本当、不謹慎かもしれないけれど、地震でそれも壊れちゃったんですよ。
ハワイに行ってて感じたのが「槇原さん、一緒に撮って良いですか?」ってちゃんと言って来る子って若い子なんですよ。隠し撮りしたりせずに若い子達がキチンと丁寧に言ってくれた時に僕は救われました。
未来は明るいと思いましたよ。
なんかそういうことだったりね、変わって行きますよ、きっといろんなことが。
僕の中でも変わって行くだろうし。

―― このアルバムを聴いて、またリスナーの方にも影響が出て何か変わったりすると良いですよね。

槇原:良いですね。だからさっきも言ったように我を無くすということって(笑)、実はすごい良いアイディアを神様からもらえると思う、僕は。
だからよく人に思いやりの精神を持ってって言うとすごく固くなるから、「我がが、我がが」って言わないっていう(笑)、言葉に代えれば良いんじゃないですか?(笑)

(一同笑)

槇原:僕、次のアルバムをちょっとこうしたいなって思ってるんですけど、テニスを見てたらゼロのことラブって言うじゃないですか。そうか!と思って。自分が何にも無くなって、人にあげ続けることがラブ(Love)なんだって思った時に、ワオ!って思いましてですね。
で、それもだから「我がが、我がが」じゃダメなんだってやっぱり思って(笑)。

(一同笑)

槇原:まぁ、テニスの試合はずっとラブのままじゃダメですよね(笑)。
ただその数式って今まで自分の全く遠いところのものだと思ってたんですけど、僕、「博士の愛した数式」っていう映画を見て、こんな文学みたいな世界だったんだって感じて、ただこの言葉じゃないと喋れない人達なんだって思うと、愛おしいなぁと思って、そういうのとかね。
だからこれから新しくいろいろとまた歌詞というか、考え方みたいなものがどんどん良くなって行くんじゃないですかね。

―― なにかきっかけになって行くと良いですよね。

槇原:いやーもう、それの端っこだけでも持たせてもらいたいなと思って(笑)、曲を書いて頑張って行こうと思っています。

―― 是非、より多くの人に聴いてもらいたいですよね。

槇原:うん、是非良いと思った人には“お友達にも紹介してあげましょう(岸田今日子風)”っていうね(笑)。
昔のコマーシャルにありましたね。

(一同笑)

―― (笑)。ではこのアルバムはどんな人達に特に聴いてもらいたいなと思いますか?

槇原:今、大変だなって思ってる人に聴いてほしいですね。
前置きしちゃうと、大変な時って実際、音楽を聴く気にもならないですよ。
でもこのアルバムは結構聴ける。だから大変だなって思った時に聴いてほしいし、「いや、このままじゃない」って、心にホント小っちゃい、針の糸で刺したくらいの小っちゃい穴から光が見えてるけど、気のせいだと思ってるような人に聴いてもらいたい。たぶんそれがバッと大きくなると思うんで。

あと最後に付けた「今日の終わりにありがとうを数えよう」っていう歌を子供と母ちゃんに特に聴いてほしいんですね。「三つ子の魂百まで」っていうことわざが僕は大好きなのでクセを付けようと思って。あれは本当だと思う。
ピアノを5歳から始めると体に入ってこないもん、アハハハ。
やっぱり3歳からやると忘れないんですよ。

(一同笑)

槇原:あれはね脳科学的にそうらしいんですよ。
だから本当に小っちゃい頃から、車に乗った時とか寝る前とかにかけたり、お母さんも下手くそで良いんで、一緒に歌ったりとかしてほしい。
だから本当みんなに聴いてほしいかな(笑)。
今大変だけどこの先頑張って生きて行きたいなと思ってる全ての人に聴いてもらいたいです。

―― 楽しみですよね。そして9月から全国ツアーが始まるんですよね。なんと全国ツアーは2年振りなんですよね。ライブの抱負を語って頂けますか?

槇原:もう!とにかく楽しみで!!このアルバム、そして前作もあるんですけども、持って行こうと思います。
さっき言ってた感謝することだったり、自分が肉感的に感じたことを、今度は直に目を見て話しに行くような気持ちで回って行こうと思っています。
それで変な話ですけど、そんな時間があることが今は本当にありがたいと思います。
だから本当に胸が膨らんじゃうというかワクワクしちゃう。

―― 槇原さんのライブはいつも楽しいですからね。

槇原:楽しいでしょ?なんか今回は今までの反省点もいろいろあるので(笑)、ちょっと前よりもバージョンアップしてお届けしようと思うので、小っちゃい子供から、じいちゃん、ばあちゃんまで来てほしいです。

―― ライブ楽しみですよね。では最後にみなさんに向けてのメッセージをお願いします。

槇原:本当に僕も良い機会だと思ってるので、もう一度みんなで頑張って楽しく生きて行く努力をしましょう!!
僕も音楽でそれのお手伝いは全力でさせてもらいたいと思うので、苦しみながらも楽しみながらでもやることは同じなので、そしたらみんなで少しでも楽しみながら人生を歩んでもらえるように、ちょっとでもお手伝いになるような曲をいっぱい作って行こうと思ってます!!
これからも応援して下さい!!

(text by takahashi)



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