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■伝説のシンデレラ・ストーリー
マライア・キャリーと言えば、デビューに至るまでの経緯として、デモテープをトミー・モトーラ(ソニー社長)に手渡したところ、トミー・モトーラはパーティーの帰りの車の中でデモテープを聴き、急いで引き返してパーティーの席上でマライアに契約を約束したという逸話がある。そんなシンデレラ・ストーリーはデビュー間もなくして、現実となる。 デビュー曲となった「ヴィジョン・オブ・ラヴ」。当時、ニュー・ジャック・スウィングやハードロック全盛期に、大胆にもバラードをデビュー曲に選んだところ、これが大当たりして見事全米No.1を獲得。デビュー曲から5曲連続1位獲得という記録は、いまだ破られていない。グラミー賞、アメリカン・ミュージック・アワードなどの主要新人賞を総なめにし、まさにアメリカン・ドリームを手にした1990年・・・今から15年前の出来事だ。 その後の活躍ぶりは、語るまでもないだろう。数々のヒット曲連発。中でもボーイズ・II・メンとの共演作「One Sweet Day」は実に16週間No.1に居座り続けるという大ヒットとなった。常に新しい音を取り入れ時代の最先端を行く曲作り、ポジティヴな感情を前面に出した歌詞、笑顔を絶やさず親しみやすさを感じさせる彼女の素顔が、世界中の音楽ファンを魅了し続け、今日までの全世界トータル売上げ枚数は、なんと1億5000万枚。日本だけでも1600万枚という桁外れな売上げ。90年代を代表するアーティストとして歴史に名を刻んだ。 ■低迷期に突入した21世紀・・・ 彼女の全米No.1獲得は、実は21世紀に入ってからは1曲も出ていない。2000年2月「サンク・ゴッド・アイ・ファウンド・ユー」の1位獲得を最後に、ここ数年に至ってはトップ10にすらランクインすることも困難となっている。チャートの上位にランクインすれば大ヒット、名曲誕生といった時代でもないが、90年代に数々の記録を打ち立てたマライアにしてみれば、物足りなさを感じずにはいられない結果だ。 トミー・モトーラ(ソニー社長)との結婚→離婚、レコード会社をソニーからデフジャムへ移籍、初主演映画「グリッター」の興行不振、露出過多な販売戦略、ついには自殺未遂、引退の噂がメディアを賑わす・・・といった具合に、21世紀に入り、マライア・キャリーのアーティスト人生は崖っぷちまで追い詰められてしまった。 ■「THE RETURN OF THE VOICE」…新たな伝説の始まり 2005年、ついにマライアが動き出した。2年半ぶりに発表したニューアルバムのタイトル「THE EMANCIPATION OF MIMI(原題)」は、直訳すると「ミミの解放」。ミミとは、彼女の親しい人たちだけが知っている、彼女のニックネーム。そのニックネームをアルバムタイトルにしたというのだから、このアルバムに対する並々ならぬ意気込みを感じる。「MIMI」は、ここ数年のあいだに彼女を蝕んださまざまな事件や出来事を払拭するかのような、会心の一作になった。いや、もしかすると、彼女の最高傑作と呼んでいいかもしれない。 なにしろ、彼女の最大の魅力である「声」を前面に打ち出した見事な楽曲がズラリと並んでいる。今作に参加した旬なアーティストたち(ザ・ネプチューンズ、カニエ・ウェスト、ネリー、ジャーメイン・デュプリ、トゥイスタ)の尽力もさることながら、マライアがソングライター兼プロデューサーとして、ほぼ全曲に名を連ねたことにより、彼女自身のすべてを表現することが出来たのではないだろうか。アルバム全編を通して感じることが出来る自信に満ち溢れた歌声は、彼女がアーティストとして、人間として成長をした証に相違ない。 本作「MIMI」の制作にあたり、2人の新しい人材が加わった。アヴリル・ラヴィーンやアッシャー等の製作に関わっているLAリード、そしてジェニファー・ロペス、ウィル・スミス。P・デディを育ててきたベニーマリーナの二人だ。また、マライアのマネージャーが、以下の2曲についてコメントを寄せている。「It's Like That」 「Shake It Off」 ニューアルバムを発表するにあたり、マライア本人は「生まれて初めて自由を感じている。そして誇りに思う。それがこのアルバムタイトルには込められているの」と語っている。「EMANCIPATION=解放」・・・すべてをさらけ出し、原点回帰を果たしたアルバム、それが「MIMI」。90年代を席巻したマライア・キャリー復活の日は近い。 ■六本木ヒルズアリーナ・ライブレポート!私がマライア・キャリーを観たのは10年ほど前の東京ドームライブ以来。久々に観たマライアは、野外ライブにひと際映える真っ赤なドレスで相変わらずの大胆衣装!「It's
Like That」ではプロモーションビデオの延長でダンサブルなマライアを披露。「We Belong Together」では、しっとりと歌い上げ、観客を魅了。日本のお客さんのために、愛日家らしく何度も「アイシテマス」を繰り返しくれて、ファンにはたまらないプレゼントとなりました。 (text by Ohishi) |