世界的な成功を収めたポップス・グループ「イン・シンク」はご存知だろうか。知らない人は、イン・シンクと同時期に活躍していたバックストリート・ボーイズや、90年代初めに一世を風靡したニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックあたりを思い出してもらえれば大丈夫…いわゆる「超人気アイドル」という括りに属するグループだ。ジャスティン・ティンバーレイクは、このイン・シンクのメンバーの一人としてデビュー。トータル・セールス4,200万枚を誇るスーパー・グループとして音楽界に名を刻み、2003年にソロ・デビューを果たす。ファースト・ソロ・アルバム『Justified』は、(良い意味で)予想を裏切る大胆サウンドを仕掛けてきた。ネプチューンズ、ティンバランドといったR&B/HIPHOPシーンの豪華制作陣を招き、POPSとR&Bの垣根を実に見事に取り払ってしまった。このアルバムは、全世界で1000万枚近いセールスを記録し、名実共にスーパー・スターとなった。 現在25歳になったジャスティン・ティンバーレイクが、およそ3年ぶりに発表するニュー・アルバムがいよいよベールを脱ぐ。タイトルは「フューチャー・セックス/ ラヴ・サウンズ」…少々過激な印象のタイトルだが、先日、試聴会でジャスティン本人が語ってくれたところによれば、タイトルは、アルバムのレコーディング終了後に決めたそうで、アルバム全体のイメージを総称したものだそう。4つの単語それぞれの意味が重なり合ったとき、今作がその答えとなるのだろう。アルバム・コンセプトについては、当初はコンセプトはなく、プロデューサー・ティンバランドと制作を行っていく中で、曲自体がコンセプトとなったそうだ。真新しいことも特にやってない、スタイルも変えていない…つまりは、前作の延長にあたるサウンドが、今作でも聴くことが出来るということだ。 一足先にアルバムの中から数曲聴いたが、上に記載したジャスティンの発言は、むしろ控えめな発言に思える…なぜならこのアルバムにはPOPSの未来を変えれるぐらいのパワーを持っていると確信出来たからだ。80'sサウンドを彷彿させるアルバムタイトル曲「Future Sex / Love Sound」を筆頭に、ジャスティンの新しいボーカル・スタイルが印象的な先行シングル「Sexy Back」、T.I.をフューチャーし、お得意のファルセットを使いこなした「My Love」、プリンス的なアプローチを施した「Sexy Ladies」、控えめなボーカルが際立ったバラード「Another Song」などなど、重厚なクラブ向けサウンドから、ミディアム、バラードに至るまで、個性的かつ実験的な音が散りばめられている。個人的には、鳥肌が立つぐらいにドラマチックな展開を見せる「Love Stoned」という曲が一番印象に残った。 曲作りにおける唯一のルールは「No Rule」だそうだ。そこらにいるアイドル上がりの歌手とは一線を画した、個性的なサウンドを探求し続けるジャスティンに、POPS界の未来を託してみたいと思う。
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(text by ohishi)