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“また名盤だし!”
アルバムを聴いた時、思わずそんな言葉が口をついて出てしまった。 昨年6月にデビューアルバムにして名盤「風味堂」をリリースし、新人らしからぬ実力を我々に見せつけてくれた風味堂の3人組。そんな彼らが前作に引き続いてまたもや名盤を作り上げてしまった。 ポジティブな力強さを感じさせるアルバムのトップバッターを飾る「Stay with me」を初めとして、ライブで盛り上がることの必須のアゲアゲナンバー「クラクション・ラヴ -ONIISAN MOTTO GANBATTE-」、涙なくしては聴けない名曲「愛してる」、そして柔らかで軽快なピアノがお洒落な雰囲気を醸し出す「恋の天気予報」と、今の風味堂らしさがふんだんに盛り込まれたアルバムとなっている。 固定観念に捉われない自由なスタンスで、様々なジャンルにトライして行くスタイル、これこそが風味堂の奏でるサウンドの醍醐味だ。 楽曲のタイプに合わせて、時に強く時に優しく色鮮やかに表情を変えるピアノの音色と職人技とも言うべきベースラインとタイトなドラミング、ポテンシャルの高い演奏力を持つ彼らだからこそ、バラエティに富んだ楽曲達を、風味堂ならではのサウンドに消化できるのではないだろうか。 どの曲を取ってみても捨て曲なし、まさに聴き応え満載の名盤「風味堂2」。 この秋、これを聴かずして何を聴く!?
★風味堂 Official WEB SITE★
http://www.fumido.jp/ ★ビクターエンタテインメント 風味堂サイト★ http://www.jvcmusic.co.jp/fumido ◆ 風味堂 プロフィール◆ 渡 和久/KAZUHISA WATARI(Vo, Piano) 福岡県出身、B型。
中富 雄也/KATSUYA NAKATOMI(Drums, Cho)
作詞・作曲も担当する風味堂の(一応)リーダー。 基本的にニコニコと人当たりが良く、 草食動物のように温厚。 実はあまり人の話を聞いていない、 典型的なマイペースB型ニンゲン。 尊敬するアーティストはスティービー・ワンダー。 長崎県出身。A型。
鳥口 JOHN マサヤ/MASAYA JOHN TORIGUCHI(Bass, Cho)
曲がったことがとにかくキライ。3度の飯よりHM(ヘビメタ)が好き。 カタイ男をよそおっていますが、ウワサによるとメンバーも知らない本性が・・・。 福岡県大牟田市出身。A型。
高校の時ベースを始め、音楽専門学校へ。風味堂唯一の弟キャラ。 笑いにはうるさい。趣味がいつもマニアック。 スタジオのメンバー募集の貼り紙という運命に導かれて集まった3人、渡和久(Vo,Pf)、中富雄也(Dr, Cho)、鳥口マサヤ(Ba,
Cho)によって2000年10月、ピアノトリオ“風味堂”を結成。福岡を中心にライブを重ね、2003年東京に拠点を移す。 ■風味堂ライブ2006 現地集合・現地解散TOUR ローソンチケットインフォメーション 2006.11.1(水) 18:30/19:00 京都磔磔 ■『鍵盤エクスタシーVol.3』
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渡:演奏面になるんですけど、アレンジ力というか、バンドサウンドで完結しちゃうというか、上にあまりダビングして入れなくても、3つの楽器で表現出来るようになって来ましたね。
中富:俺は個人的にドラムの太鼓の数を減らして、本当に必要最小限のものしか使ってないんですけど、それを録って聴いてみて、数がないのをそんなに感じない出来上がりになってるのがすごく嬉しいですね。
鳥口:僕も個人的なことなんですけど、ベースの弾き方の世界観っていうのが、また一つ増えまして、具体的には今まで1オクターブの中で表現していたことが、2オクターブの中でフレーズが動き回れるようになったり、オンコードなったりだとか、そういうところで前作にはない響きをバンドに持たせてるんじゃないかなと。
――今回のアルバムは振り返ってみて自分ではどのようなアルバムになったと思いますか?
渡:まずはいろんなジャンルのものがあるというか、同じようなタイプの曲が被らない、どの曲も今度はこういうのだ、今度はこういうのだっていう感じの、飽きないアルバムになったなと思います
中富:自然の流れで風味堂のインディーズ、そして1枚目という、その流れの延長線上にちゃんといるというか、無理することなくやって来たことが更にそれが広がったっていう、そういうイメージですね。
――じゃあ、自分の中で広がりが出来た感じですね。
中富:そうですね。これがまた来年アルバムを出すなら、来年はこれをベースとしてこのまま広がるだろうなっていう感じですね。
――どんどん広がって行く感じですね。
鳥口:すごい聴き応えがあるアルバムかなぁと思います。
――確かにそれは言えますよね。
鳥口:すごい、あっと言う間に全部聴けるんですよね。飽きずに聴けるし、俺的にはこのアルバムはすごいあったかいイメージがあるんですよ。選曲とか曲順ですごいあったかい感じがしてて、なんか優しいけど主張してる感じがするアルバムなんですよね。でもなんか名盤的な感じもするし、次にまた一歩行けるアルバムが出来たなと思います。
――1作目でも名盤だなと思ったんですよ。でも2作目で1枚目を超えちゃってて、“あら!また名盤だし!”っていう(笑)。
(一同笑)
中富:良いですね、それ(笑)。
鳥口:それ、良いキャッチコピーですね(笑)。
渡:(笑)
――(笑)、でも3人のすごいなっていうところは楽器もとても上手なのにテクニカルに走らないところなんですよね。よくいるじゃないですか、「ほらほら、俺って上手いだろう?」みたいな(笑)。
(一同笑)
――そういう感じじゃないんですよね。
渡:そうですよね。
――そこがとても謙虚であり、良いなと思うんですよね。今回は作る時に最初からこんなふうにしようかなとか、そういうコンセプトみたいなものはあったんですか?
渡:どの曲を入れるかっていうので、あまりコンセプトっていうのは考えなくって、アルバム全体1枚をポンっと聴いた時に何回でも聴ける感じのものにしたいなっていうのだけが最初はあったんです。でも特に1枚目はいろんな楽器を入れて、その1曲が成り立つっていう作りのものが多かったんですけど、今回はほんとにバンドで作った感じというか、そういうのは大事にしてやりたかったなぁというのがありましたね。
鳥口:アルバムを作るっていうことで作るんですけど、出来たものを集めて曲順を組んでみたいな。だからコンセプト的なものではなくて、僕等的には1曲1曲大事にやって行って、ツルッと聴いたらこういうイメージで聴けたみたいな、そんな感じですかね。だから集めたって感じですね。
中富:やっぱり自然の流れな感じですよね。
――それでは曲毎に質問させて頂こうと思うんですけど、まず最初にこの曲はシングル・カットもされている曲なんですけれども「クラクション・ラヴ -ONIISAN MOTTO GANBATTE-」、これを聴いた時に今までと随分感じが違ったのでビックリしたんですよね。これはどういうところで作ろうかなと思ったんですか?
渡:これはですね、最初にディレクターから「渡君さぁ、ちょっとこう、はっちゃけたの作ってよ」っていう話が来て、「あ、ハイ、作ります」って言って(笑)、そしていくつか作ったんですけど、そんな中で上品なイメージばかりがつくとそれはそれで限定されすぎるので、ちょっとこうふざけた感じのものを作ってみようかみたいな感じで作りました。
――最初はちょっとどうしたのかな?と思ったんですけど(笑)、ライブでみんなが一緒に踊ってるのを見た時に、この曲はライブで完結するんだなというのを実感しましたね。
中富:そうですね。単発で聴くとイッちゃってるなと思うんですけど、ライブやアルバムで他の曲と並べて聴いてたり演ってたりしてると、やっぱり馴染むんですよね。同じ風味堂の振り幅の中にちゃんと居た曲というか。
――アルバムの中に入るととても良い感じになりましたよね。こういう一面もありなんだななんて思いましたね。これはベースの音とかはどのような感じで弾いてたんですか?結構、激しいですよね。
鳥口:あれはですね。スラップと言いまして、弦を親指で叩いて引っ張ってっていうのを繰り返してるんです。
――なるほど、あんまりいつもはやらない感じなんですか?
鳥口:あのーまぁ、飛び道具的な弾き方なので。
(一同笑)
鳥口:ここぞっていう時にしかやらないです。ソウルとかではよくやる弾き方なんですけど、あんまりロックでは使わないですね。でもすごくあぁいうダンスナンバーとかには持って来いな奏法なんで、今回、渡さんとユニゾンでみたいな感じで弾いたりしてるところもありますね。
――ライブでも見れちゃうんですね?
鳥口:見せますよ、はい(笑)。
――楽しみですよね(笑)。それでは次の曲のお話を伺わせて頂きますが、今回「家出少女A」の歌詞についてとても聞いてみたかったんですよ。これはある意味、問題作?って感じですよね。
渡:まぁ・・そうですよね。
――よく一般的なタイプの詞だと、あぁいう女の子の気持ちを歌った後、でもそれじゃいけないんだよみたいな歌に持って行くことが多いんですけれど、でもこの曲は最後までその女の子の気持ちをバンって言い切って、彼女はそう言ったという形で終わっているので、どういうところでこの詞を書こうかなと思ったのか伺いたかったんですよ。
渡:これはよくテレビでやっている「真夜中の渋谷24時」とかじゃないけど、よくギャルのオネーチャンがモザイクかかって喋っているような、そういう番組を見てて、こういう作品を書いてみようかなと思って書いたんです。家出はいけないよとは一言も言ってなくて、ただテレビで見てると家出してる女の子の気持ちとかって、テンションがとても高いんですよね。やっぱり家を捨てて来ただけあって、すごく外で生きるっていうか、ただテンションの高さを表現したかった曲っていうか(笑)。
――なんかその女の子の気持ちを思いっきり言い切っていてこの感じだと自由で威勢が良くて、すごいなーという感じで。その後どうなるかではなくその一瞬の感情が切り取られてるじゃないですか。
渡:そうですね。
――その切り取られた部分と、女の子の気持ちもリアルだったところは印象的だったんですよね。
これは聴いた後にリスナーの女の子はどんなリアクションをするのかが興味深いですよね。
渡:今まではライブでしかやってなかったので、そういう曲って歌詞っていうよりは勢いでお客さんが盛り上がるっていうところもあると思うので、改めてアルバムに入るとまた聴き方とか変わってくるのかもしれないですね。
中富:うん。
――アルバムリリース後の反応も楽しみなところですよね。今回は本当に名曲がたくさんで「ママのピアノ」も今回はストリングスを入れてるんですよね。インディーズでもこの曲をリリースしてましたよね。
渡:インディーズの1枚目ミニアルバムに入ってたんですけど、あの時は本当にもう曲のストックがあれが全部だったんですよね。
持っている曲を全部入れた中で、みんなが気に入ってくれたので、改めて次はシングルカットして、次はアルバムに入ってっていう、登場回数が多い曲ですね。
――この曲はキラーチューンだと思っていたので、早めにシングルで出しちゃったのでビックリしてたんです。この曲は歌詞を見なくても歌が入ってくる曲ですよね。
渡:一番最初に作った時はインストだったんですよ。俺のピアノすごいだろうーって感じで作ってたんですけど、あんまりすごくなくて(笑)。
(一同笑)
渡:それで歌詞を乗せようって話になったんです(笑)。
――でもこの曲はずっと歌って行ける歌だと思うんですよね、これからもずっと歌い続けてほしいですね。
渡:はい。
――そして今回この「愛してる」ですが、これがまた良い歌詞なんですよね、泣ける歌詞で。これはどんなふうなところで出来たのかというのを教えて頂こうと思うんですけれど。
渡:俺はこの曲を書いた時はフィクションを作ろう、物語を作ろうっていう感じで書いたんですけれど、書いてみると意外に身の回りに俺も同じようなことを経験してるっていう人がいて、これは共感を得ることが出来るかもしれないという感じて作った曲ですね。
――なんか某雑誌で、経験談をお持ちの方がいらっしゃるというような記事を読んだのですが(笑)。
鳥口:某雑誌で(笑)。
中富:某雑誌で(笑)、そうですね、いろんなところで結構言ってるんですけども、やっぱり誰しも近い経験はあると思うんですけど、たまたま俺はすごいドンピシャでハマったんですよ。
特にバラードの大事な要素って共感出来ること、自分をそこに置き換えることが出来るか出来ないかで、その曲っていうのは全く持って届き方が違うと思うんですよね。自分の心情を表してくれてるっていうものを、人って探してるわけじゃないですか、曲を聴いてる時に。
自分の心情にピッタリだって言いたくてその感情に浸りたくて聴くわけだから、たまたまそういう経験があるが故に、そういう時、俺はこう感じたよとか、例えばもっとこうなってる方がリアルじゃない?みたいな、そういう話をして、本当に共感出来る内容に出来上がったなと思います。
――そのアドバイスは渡さんは役に立ったんですか?
渡:そうですね。
中富:あと、多少の食い違いというか、渡さんが思ってるどこまでリアリズムを入れるのかっていうのと、俺が求めるリアリズムの。最初はもっとこうした方がリアルだよっていうのを、そういう表現じゃない方法で行きたいっていうので話し合ってたんですよ。その後で渡さんが言ってる意味がわかったんですよね。例えば固有名詞をあまりに入れ過ぎてたりとか、感情を入れ過ぎてたりすると、余計に限定してしまうっていうことを言ってて、あぁ、なるほどねって、共感出来るところの引き際っていうののバランスを上手く取ってる曲というか。
――限定し過ぎてしまうと、ドンピシャの人はハマるんでしょうけど対象を狭めちゃいますよね。
中富:そうなんですよね。
――渡さんはフィクションでここまで書いてしまうのはすごいですよね。
渡:失恋の経験自体はみんなあって、それを元に歌詞を書くんですけど、自分の失恋した経験をただそのまま書くよりも少し物語を与えてあげた方が伝わりやすい、ただしそれは例えば“2つセットのお揃いのコーヒーカップが、ある日、片方にヒビが入ったんだ”みたいな、そういうのはちょっと特定しすぎだなと思って、固定したグッズが出て来ない歌詞にしたくて、でも部屋っていうのはイメージにあったんですよね。2人で同じ部屋に居たんだけど、夜が明けたらいなくなるとか、なんかそういう壁を作ってあげたかったっていうか。
――ある空間の中にっていうことですよね。
渡:そうですね。
――確かにコーヒーカップとかだとリアル過ぎてちょっと・・・(笑)。
渡:そうですね。
中富&鳥口:リアル過ぎますね。
――この曲は思わずストーリーを人に語りたくなってしまう曲なんですよね。
渡:そういう方が多いんですよ。これはなぜこういう歌詞なのかっていうのを喫煙所とかでみんなで分析してるんですって(笑)。「だからあれはもういない人なんだよ」とか(笑)。
中富:「2時位までこないだ語ったよー」って(笑)。面白いよね。
渡:うん。
――歌の中にドラマがあるから、みんなが思い浮かべて聴いて行くと、この人達はどうなっちゃうのかなって、歌の中のストーリーにほだされてしまう分っていうのはありますよね。これも1曲で聴くよりアルバムを通した方がリアルだった気はしますね。今回もほんと楽しい曲もあって、「フラフラフライデー・ミッドナイト」、もうーどうしようと思ったんですけど(笑)。
(一同笑)
――まず最初のあの歌ってる人が・・・(笑)。
(一同笑)
中富:気づきました?
――あれ?みたいな(笑)。
中富:気づいたかー(笑)。
渡:あれはうちのディレクターとかですね。
――そうなんですかー。
渡:はい(笑)。
中富:元々、あれは高い声でわざと酔っ払いを表現してくれたんですけど(笑)、でもその後に自分でイエー!とかフェイクを入れたりするんですけど、明らかに誰よりも良い声なんですよ(笑)。
良い声過ぎてカットになってしまったんですよね(笑)。
――そうだったんですね(笑)、この人どこで見つけて来たんだろうと思って(笑)。
(一同笑)
――なんかビックリしました(笑)、それではアルバムの中で個人的には各々この曲をここを聴いてよ!っていうのがあると思うんですけども、敢えて1曲挙げるならどの曲を挙げますか?
渡:俺、フレーズは大体手グセでやってるので、そんなに変化はないんですけど、「恋の天気予報」って曲は、今回のアルバムで始めて挑戦した弾き方で、ピアノの一番鳴る強さの弾き方に挑戦してて、ものすごい弱く弾くんですよ。それが結構難しくって、普通ってシャキっと弾くと指が安定して弾きやすいんですけど、ほんとに弱い力で弾く、そうするとピアノがシャキンって鳴らずにコーンって良い音がするんですね。それを狙ったので、すごく耳が良い人は聴いてほしいなと。
中富:俺は12曲目の「Love...」のドラムが今回で一番難しかったしそれが成功したというか、前作のアルバムでは「FUNNY JOURNEY〜渚の吐息〜」って曲があったんですけど、あの曲も出来て嬉しかった曲だったんですね。
今回「Love...」のドラムっていうのは、例えば一年前の自分なら出来なかったフレーズ、叩き方、間の取り方っていうのが、今回は出来て良かったなという感じですね。
――発言を聞くと、いつもドラムを上手くなるためすごい頑張ってますよね(笑)。
中富:(笑)
――努力家なんですね(笑)。
中富:いや、最近やっと努力を(笑)。
――追い詰められると頑張るタイプ?
中富:追い詰められると・・・逃げ出しますね。
渡:そのまま(笑)。
中富:俺、上から怒られたりするとダメなタイプなんですよ。
――じゃあ、あれですね、最初から褒められて伸びるタイプですってことをアピールして行った方が良いかもしれないですね(笑)。
中富:そうですね(笑)、もう名前もそれにした方が良いくらいですね。
“褒められて伸びるタイプのドラムの中富です”って(笑)。
鳥口:(笑)
――じゃあ、スタッフの方にもよくアピールをしておかないとダメですね(笑)。
それでは鳥口さんはいかがですか?
鳥口:そうですね。僕も「恋の天気予報」のピアノソロのとこなんですけど、そこでベースの和音を出すところがあるんです。あれはベース界では結構、難しいと言われているフレットレス・ベースで和音を出すというやり方なんです。
――あっ、それは難しいですね。
鳥口:難しいんですよ、フレットがないから、常に弦が当たってる接点を同じ点で同じ位置にしておかないと和音が出ないんですよ。一個だと調節が効くじゃないですか、でも三和音出してるんで、三本の指で同じ位置にちゃんと音が出る位置に押さえてる部分が来てないと響かないんですよ。
――手がフルフルになっちゃいますね。
鳥口:そうです。手を固定して息止めてやんないとダメなんですよ。
――それはもう大きな声でアピールしておかないと。
中富:いやもう、そうですよね。
鳥口:でも長年ずーっと使ってるベースでやったのも、すごい助かってるんですけども。
――ファンの方はそこも聴かないとですよね。
中富:あれ、普通に聴くとただギターで入ってると思いますからね(笑)。
――あぁ、ギター入ってるんだーみたいな。
中富:はい、ベースだよって言わないと。
――もうそこは大きな声でもう見て!っていう(笑)。
鳥口:見て!ほらほら和音だよ。
中富:ほらほら、見て!(笑)
渡:(笑)
――ライブでもそれはやるんですか?さすがに厳しいですかね。
鳥口:うーん、どう・・・ですかねぇ(笑)。
渡:やって頂きましょう!(笑)
中富:やって頂きます!(笑)
――マライア・キャリーみたいに今日は高い声が出そうな気がするみたいな(笑)。
鳥口:(笑)
中富:今日はやれそうな気がする(笑)。
渡:そういうノリですね(笑)。
――でもほんと楽器やってる方とか聴きどころ満載ですね。ピアノもすごく色合いが出たというのか、柔らない音とかもすごい綺麗に出ていていましたよね。
渡:前回、何かのインタビューの時に言ったんですけど、俺って持ってる手グセのフレーズがたぶん冷静になって考えても5種類位しかなくて、使い分けて今までの曲を書いてるんですよ。今回もそれがすごくあって、そっかじゃあ、試しに違う曲で別の曲のピアノソロをやったら合ったんですよ、綺麗にね。なので、なんか、そういうもんなのかなと思って(笑)、何か違う見せ方はないだろうかって考えたら、やっぱり強弱と後は上手さなんですよね。
綺麗に上手く弾く曲とすごく下手クソに弾く曲とっていうのを今回分けてて、今回は全体的にちゃんと弾いたんですけど、その中で8曲目の「線香花火」と13曲目の「フラフラフライデー・ミッドナイト」は前日にちょっとだけ練習して、合宿でもあんまりやらなかったんです。で、本番でいきなりレコーディングで弾いてみるみたいな。なので所々すごい不安定なんですけど、そっちの方が歌詞が伝わるというか、雰囲気が出るっていうのを今回はちょっとやって、要は練習しないで録っちゃったっていうのが2曲だけ入ってます。
――そういうのって心配じゃないんですか?
渡:エンジニアの人も一番良いのはワンテイク目で、わー、大丈夫かなって思っていながら弾いてるのが、すごく良いっていう、まぁ、曲がそういう曲だったんですけど。
――すごいですね。確かに「フラフラフライデー・ミッドナイト」の曲はピアノがすごく来ますね。ダーって弾いてるとことか。
渡:もう力任せにやったり、後はフレーズも決まってないからやっぱりアドリブで曲を弾くというか。
――スリリングな感じって良いですね。
渡:そうですね。やっぱりそれって何回も出来ないんですよね。その一回目を超える演奏が次は出来ないというか。
――そういう瞬間を切り取ってアルバムになっているというのは聴き応えがあるなぁという気はしますね。アルバムが出来上がってみて、今回のアルバムの中に一番込めたかった想いというのはどんな想いですか?
渡:これからアルバムが何枚出てそれがわかるかはわからないですけど、風味堂がやりたいことっていうのを何となく理解をしてくれたら嬉しいなと思うんですよね。ほとんどのバンドっていうのは私はこうなんだっていうものがあって、それをずっと続けて行くっていうカッコ良さがあるんですけど、風味堂っていうのは今回はこういうの、今回はこういうのっていう、シングルの出し方もそうなんですけど、毎回違うテイストのもの、興味のある方向にどんどん乗り換えるじゃないけど、ジャンル的にどんどん変わって行く。それで風味堂なんだよっていうのが、アルバムを通して聴いてもらった時に理解してくれると、すごく嬉しいなと思いますね。
――それって実は恵まれてるんですよね。いろんなことが出来る上でこれって選べるっていうのはやっぱりすごいと思いますね。ますます広げてほしいですね。中富さんはいかがですか?
中富:今の風味堂がやりたいことというか面白がってやってること、去年面白がってやってたことは去年のアルバムに入ってるんですけど、今年面白がってることをちゃんと入れたかったってというか、レコーディングとかそこに笑顔がないとイヤなんですよね。録ってる時にうーんって、みんながなってしまったら、あんまりよろしくないというか。みんなが面白がってやってることが、そのまま丸々録れれば良いなと思って、今回そんなに煮詰まらずにちゃんとそれが出来たので、すごく嬉しいですね。そこら辺、ご利用を計画通りにした感じですね(笑)。
――(笑)。
鳥口:そうですね、風味堂って自由な音楽の塊で、アルバムを聴いた人にすごい音楽の自由さを改めて感じてほしいっていうのもありますね。なんか一つのバンドが一つのことをするんじゃなくて、いろんな音楽をやるっていうスタンスが大事なんだみたいな、そういう気づきそうで気づかないことを感じてほしい。
――うん、でもこれはもう傑作なので、まぁ、まずは聴けよ!って感じですよね(笑)。
鳥口:そうですね、まずは聴けよ(笑)。
中富:また名盤だしって(笑)。
――次もたぶん名盤だしきっと!みたいな(笑)、アルバムタイトルはずっと「風味堂3」とか「4」にして行くんですか?
渡&中富:そうっすね。
――そうなんですね(笑)。
中富:これはいろんな意味があって、当てはまらないというのもあるんですよね。何か言葉を持って来ても、この曲に当てはまるけど、全体通した意味としては何かちょっと違うよねとか、コンセプトで作ってるわけじゃないから、コンセプトアルバムを作る時にタイトルをちゃんと付けて、そうじゃない時は1、2、3、4、それで行こうと。
――それでは少しまたプライベート的なお話を伺おうと思いますが、たしか前回は三人で暮らしていたんですよね。
中富:はい。
――遂に一人暮らしをされたようなのですが、結局、矢田亜希子のシールは見つかったんですか?
渡:いや、最後の1枚が見つからずに、もう新しい入居者が入ってしまって。
――じゃあ、その人が矢田ちゃんを見つけるのか(笑)。
中富:気づいてるかもしれないですけど、気づくかなーあれ。
鳥口:内装工事の人も見つけないと剥がさないですから、たぶん。
――お二人は知ってるんですよね。
鳥口:知ってます。
――教えないまま、じゃあ・・・。
中富:教えないままですね、隠し事がある関係ですね。
(一同笑)
――三人、離れ離れで寂しいですね。
渡:そうですね、でも一緒にいる時間はすごい多いんですよね、やっぱり。ただ何時にどこで待ち合わせしてとか、そういう感じに形が変わっただけで、そんなに違和感はないですね。
――じゃあ、一人暮らしをそれぞれ満喫してる感じですかね。
渡&鳥口:そうですね。
――そんなことないですか?寂しいですか?(笑)
中富:いやいや、そんなことないですよ、大丈夫、大丈夫。
――泣いたりしてないです?(笑)
中富:泣いたりしてないです(笑)。やっぱり風味堂の三人が住んでるとこに風味堂ってのは存在して来るわけですよね。それがそれぞれの家に帰った時は俺はただの中富雄也で、渡和久、鳥口マサヤで、そういう一個人に戻る空間っていうのはちゃんと持っていた方が冷静になれるというか。
風味堂のっていう冠がその後付けれるっていう気はしますね、離れてみると。
――確かに外でも一緒でお家でもずっと一緒って、それはある意味あまりないことですよね。それではもし明日から1週間お休みがあったら何をしたいですか?
鳥口:旅行ですね。
――旅行、どこに行きたいですか?
鳥口:九州です。
(一同笑)
鳥口:一応、実家に帰って、ちょっとのんびりしつつ、バイクでブラーッと鹿児島とか行って、ブラブラしようかなって。
――ちょっぴりホームシックな感じなんですか?
鳥口:いえいえ、違います(笑)。
――九州の方ってよくお家に帰りたいって言われる方多いですよね。
中富:地元大好き多いですよね、九州の人って。
鳥口:一週間ですからね、富士山に登ったり。
――確かバイクがお好きでしたよね、でも富士山ってバイクで行けないですよね。
鳥口:五合目までこないだ行ったんです。
登らなかったんですけど、今度、上まで登ろうかななんて思ってて。
――すごいですねー、足腰鍛えてる感じなんですか?
鳥口:いや、鍛えてはない・・・。
――(笑)。
鳥口:自分の今の限界を知りたい。
中富:あれ?でも今、走れるっちゃろ?
鳥口:そうそう、今、走ってはいるんですけど、でもたぶん鍛える走り方じゃないですよね。
なんかこう歩幅が小っちゃくて、動いてる割にはあんま進まないんですよ。
中富:(笑)
渡:俺も旅行かなと思うんですよね。旅行で東京からちょっと一回離れるというか。沖縄とか行ってみたいですね。
――あぁー良いですよね。
渡:あぁいう空気は良いですよね。何回か行ったんですけど、落ち着くっていうか。沖縄良いですよ、海がメチャクチャ綺麗で、そして変わった食い物が多くて、魚がちょっとカラフルなんですよね(笑)。
中富:そうそう。
鳥口:熱帯魚みたいな感じですね。
――食べれないかもしれない(笑)、中富さんはいかがですか?
中富:釣りに行きたいですね、釣りって一日じゃ勿体ないんですよね。そのポイントを見つけて、じゃあ、そこでってなって、その日釣れなくてもそこで来そうな気がするんですよ。ここはイケるって思ったら、次の日ももう一回行きたいし、だから一週間かけて時計を見ない生活というか、そういうのをしたいですね。
――時計見ないでってないですもんね。
中富:ないですよねーっと言いつつ、でも俺、時計大好きで玄関とかトイレとか全部に時計がある人なんですけどね(笑)。
――それもすごいですね(笑)。
中富:実は時計がないと不安な人なんですけど(笑)。
――実際やったらちょっと落ち着かないかもしれないですね。
中富:うん、でも一週間あればですね、腹時計で生きてみたいですね(笑)。
渡:(笑)
――それでは11月から全国15公演の「風味堂ライブ2006 現地集合・現地解散 TOUR」が予定されていますが、どのようなライブになりそうですか?
渡:三人で回るんですけど、三人でステージ上でどれだけ、演奏する以外の表現が出来るのかなとか、今いろいろ考えてるところで、後はやっぱり新曲を披露出来るから、すごくそれが楽しみですね
――中富さんはいかがですか?
中富:俺は今回、東名阪っていう、大きな所以外の細かい所も行けるんで、それがすごい楽しみなんですよね。自分は長崎に住んでたんですけど、なかなかアーティストが来ない所なんで、来た時の喜びっていうのがすごいんですよね。大分前から準備して想像して何回もチケット見てみたいな、そういうのを与える側に今度はいるわけだから、その気持ちに応えたいっていう。
――その気持ちわかりますね。でも今度はそういうふうに待たれる側になるっていうのも感慨深いですよね。
中富:そうですよね。
――鳥口さんはいかがですか?
鳥口:これだけ長いツアーっていうのが初めてなのですごく楽しみなんです。それと今まで行ってない所も行けるので反応が楽しみなのと、自分的なことですけど、どのベース持って行こうかなって、すごい迷ってて。
渡:(笑)。
――全部、持って行けば良いじゃないですか(笑)。
鳥口:8本持ってるんですよ、今。最近、買った自分仕様にスペシャルモデルにしてるやつがあるんですけど、それも持って行こうかなと思うんですけど、新しすぎてまだ馴染んでないんで、なんか弾きにくいし。
中富:スペシャルモデルなのに(笑)。
鳥口:モデルはスペシャル、俺の注文どおりなんですけど、でもなんかまだ馴染んでないから、しっくり来ないんですよね。だから今までずっと使っていたジャズベースとかが、やっぱ一番弾きやすいんですよ(笑)。
中富:あー、それは悩みどころですね(笑)。
鳥口:どうしようかなって今、悩んでる(笑)。
――とりあえず持って行く方が(笑)。
鳥口:持って行こうかな、でも全部持って行くほど、そんないろいろ使い分けたりもしないんですよ、実際。
渡:(笑)。
鳥口:昔から俺、ライブの前は釣りの仕掛けを作るのと一緒で、このベースでこういう音でって考えるのがすごい楽しみで、この機材をこうやって使ったらどうだろうとか。
中富:楽器の問題ですね(笑)。
鳥口:ほんとに楽器好きだから(笑)、そういう意味でどこまでこの楽器はツアーに耐えれるんだろうかとか、こういうことがあったらどうなんだろうかとか、長いから。
中富:すげー。
鳥口:いろいろ企むのが今すごい楽しくて。
中富:フェラーリ買ったけど、乗り慣れたカローラで行こうかなどうしようかなみたいな(笑)。
鳥口:そうそう、どっちが安全かなとか(笑)。
中富:でも買ったしなぁみたいな(笑)。
鳥口:でもこの曲はこのベースが良いんだけどなぁ、でも機材車に積めないだろうなぁーとかって、今ずっと、頭の中が結構それでいっぱいなんですよ。
(一同笑)
――結構、オタク系なんですね?(笑)
鳥口:オタク系なんですよね。
――ピアノはそういうのないですもんね、そこにあるのをどのピアノしようかなって言えないですからね(笑)。
渡:そうなんですね(笑)、うん。
――今すごい至上の悦楽のような表情でしたよね(笑)。
渡:今、日本で一番、頭の中が忙しいベーシストです(笑)。
鳥口:ネックの状態がコイツは純反りで、コイツは真っ直ぐでって、木の性質があるんで、この冬場でこの季節だったら・・・これは運んでたら曲がるなーとか(笑)。
(一同笑)
鳥口:いろいろあるんです、いろんなバランスが。
――11月だと雪が降ってるところもあるでしょうから、湿度とかでまたネックの(笑)。
渡:15ヶ所たぶん気候が違うから、先にベースを送るんよ、その15ヶ所に。
中富:アハハハ、で慣れさせて。
渡:その持ってる8本のやつをバッと送って。
――終わったら次の街に。
渡:そう次の街に行ったり来たりして(笑)。
――じゃあ、そこも見どころですね(笑)。
中富:どのベースを使ってるのか、あっ、弾きにくそうだ、やっぱスペシャルはみたいな(笑)。
――当日、使っているベースも見どころということで(笑)。
鳥口:はい。
――では最後にみなさんに向けてそれぞれメッセージをお願いします。
渡:新曲もみなさんにすごく楽しみにしてほしいのと、ツアーではやっぱり音楽はみんなで楽しみたいものなので、出来ればみんなで一緒に歌えるようなそんなライブにしたいと思うので、みんなもお客さんというよりはバンドメンバーみたいな、そういう立ち位置で楽しんでくれると嬉しいなと思います。
中富:先程の言葉をお借りして「また名盤だし」っていうのを(笑)、自分達も良いものを作ってて、出来たと思ってるので、実際そういう言葉を頂けると、もうそのまま「また名盤だし」っていう言葉で(笑)。
――じゃあ、リコメンド文は「また名盤だし」っていう言葉から始めます(笑)。
(一同笑)
――これを合言葉に(笑)。
中富:合言葉で(笑)。
鳥口:もうほんとに良いアルバムが出来て、じっくり聴いてほしいし、アルバムを聴いてライブに来て楽しんでほしいですし、ついついワー!とかキャー!とか言いそうになるライブをしたいなと思ってます。
――ありがとうございました。
渡&中富&鳥口:ありがとうございました。
(Text By Takahashi)