エルヴィス・コステロ 特集 |
エルヴィス・コステロ 「ノース」 全体的に愛を感じるアダルティーなアルバム。曲によってはピアノのメロディーがロマンチックさと安堵感を漂わせ、下手な小細工で人々を惹きつけているわけでもない、正しく無駄な物を削ぎ落とした作品。存在感の有るコステロの声は楽器要らずと感じてしまう程、シンプル・イズ・ベストさを追求したアルバムの様にも感じられる。これが大人が感じる音楽の空間と言わんばかりの仕上がりは、きっと誰もが聴き入ってしまうだろう。 |
先頃「コンプリート・ベスト」を発売したばかりのエルヴィス・コステロが、過去発売されたアルバムを紙ジャケット・シリーズで一挙11タイトル発売する事を決定し、それだけに留まらずニュー・アルバムをも発売させると言う、驚異のリリース・ラッシュを実現。 エルヴィス・コステロは、1977年にニック・ロウのプロデュースによりデビューを飾った、今ではカリスマ的存在のアーティスト。当時から何処となく普遍的なロックでありながらも一般大衆受けに戦く事なく独自のスタイルを確立し、且つ、そう言った一般大衆に見捨てられる事もなくコアなリスナーをも増やして行った、恐るべしアーティストの一人とも言える。音楽界では20年以上のキャリアを持ち、確立されたそのスタイルを崩し過ぎる事なく、しかしながら飽きさせる事もなく、楽曲を出す度に多くのファンの心を揺るがして来た。その集大成とも言える「コンプリート・ベスト」は、彼の今までの軌跡がギッシリと凝縮された、全43曲入りの2枚組。初期のパンク、ニュー・ウェーブ寄りの楽曲から、現在のコステロ流王道系ポップス・ソングに到るまでを詰めこんだ宝物的ベスト盤である。この一枚を聴けば、彼の今までの道程がちょっとでも理解出来る究極の仕上がりになっている。映画「ノッティング・ヒルの恋人」の主題歌としても有名なラヴ・バラード・ソング「SHE」や、木村拓也主演のドラマ「空から降る一億の星」でも話題を呼んだ主題歌「スマイル」、情報番組のテーマ・ソング「ヴェロニカ」など誰もが耳にした事が有る楽曲も収録されており、正しく音楽家としての生き様を綴った様な一枚でも有り、美しいメロディー・ラインをずっと描いて来たアーティストでも有ると言う事を同時に理解して戴ける作品と言える。 待望の新作「ノース」は、過去の作品とは一味違って、今までで一番オープンに自分をさらけ出し、自分の能力を望み通り発揮出来た作品だとHP上でもコステロ本人が語っている。ピアノから作った楽曲が多く、歌ものが中心になるとの事。本格的に“聴かせる”境地に入ってきたのであろうか、新作も多くの人々の心を揺さぶるアルバムを提供してくれる事は間違いない。 Text By Isoyama
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■9/27発売 紙ジャケシリーズ
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