驚くべきクオリティ、これが本当に23歳の青年が作った曲なのだろうか?
2004年11月にリリースされたデビュー曲「TRUST ME」を初めて聴いた時、デビュー曲とは思えない楽曲の完成度の高さと、センスに正直ぶっとんだ。 「この青年はいったい何者!?」 日本において21世紀における初のAtlanticレーベル公認のアーティスト。 彼の名前は森大輔。 そんな新人らしからぬ驚きの経歴と実力を持つ森大輔の待望の1stアルバム「OPUS ONE」が届けられた。 シングルであれだけ驚かせてくれた彼が、今度はアルバムでどんな音を聴かせてくれるのか、そんな期待とちょっぴりの不安を抱きつつ「OPUS ONE」のサウンドに耳を傾けた。 高い歌唱力を持ったソフトなボーカル。 いやはやとんでもない新人が現れてしまったものだ。 森大輔の持ち前の才能と実力を余すことなく発揮したアルバム「OPUS ONE」、耳の肥えた大人の音楽リスナーにもお勧めの一枚。
>>
その他商品はこちら
★森大輔 official website★
http://www.funkyjam.com/artist/moridaisuke/ ワーナーミュージック・ジャパン ★森大輔 アーティスト・サイト★ http://moridaisuke.com ◆森大輔 プロフィール◆ 1981年12月10日、大阪府生まれの23歳。射手座、O型。
3歳からクラシックを学び、以後多岐にわたる音楽を吸収し、現在に至る。 2004年11月10日、シングル「TRUST ME c/w still」(Warner Music Japan/Atlantic Japan)よりデビュー。 現在、FM NORTH WAVEにてレギュラー・ラジオ・プログラム「森大輔 TRUST ME」が、好評オンエアー中。 |
森:はい。
――今まで3枚のシングルを出されたわけなんですけれども、作曲を始めたのは何歳くらいの時からなんでしょうか。
森:歌を作り始めたのは大学生に入ってからなんですけれども、幼稚園ぐらいから作曲のレッスンみたいなのはピアノを習う上で受けていたので、その間はずっとピアノ曲を中学、高校くらいまで作ってましたね。
――ピアノでずっとやって行こうとか思ってはいたんですか?
森:小学校を卒業する時とかの文集には作曲家になりたいって書いてて、それはたぶんピアノを弾きながら歌うっていうのは頭になかったと思うんです。
中学校と高校の時もピアノをずっと習ってたんですけど、ピアノってほんとは奥が深いなってことにようやく中学、高校になって気づいて、その時にちょっと違うかなと、ピアノで学んだことを活かした別の道があるかもしれないなっていうのを考え始めたっていう感じですね。
――なるほど、現在はピアノというよりもシンガーソングライターになっているわけですよね。
森:そうですね、はい。
――そういう風に自分で歌って行こうって思ったきっかけとかはあるんですか?
森:大学生の頃にデモテープを作ったんですけど、デモテープを作りながら、歌は違う人に歌ってもらおうと思って作ってたんです。
でもよく考えてみたらその歌を安心して歌ってって任せられる友達っていうのが、僕の身の回りにはいなかったので、じゃあもう作った本人として歌っちゃえば良いかっていうところで歌い始めたのがきっかけみたいな感じですね。
――では最初は自分で歌おうっていうところではなかったんですね?
森:そこは原点ではないですよね。
――シングルをまず3枚聴かせて頂いたんですが、今、23歳ですよね?ちょっと23歳とは思えない音楽のセンスっていうんですか?すごい勉強してるのかなっていう。
森:(笑)
――70年代とかフュージョンとかR&Bとかっていうのを通って来てる音楽性じゃないですか。この人は何を勉強して来てこんな大人っぽい曲を作ってるんだろう・・・っていうのは思ったんですよ。
森:はい。(笑)
――そういうような曲を聴き始めたのっていうのはいつぐらいからなんですか?
森:今、おっしゃったようなフュージョンとかジャズっていうのは母親が割と好きで、家でCDをかけてたりっていうことが、僕がちっちゃい頃からあったんです。僕自身が自発的に聴き始めたのはほんとにごく最近なんですけど、でもずっと耳には入って来てたっていう環境があって。
歌ものに興味を持ち出したのが中学校くらいからで、R&Bとかそういうものを聴こうと思って聴き始めたのは、ほんと高校生に入ってからっていうぐらいなんです。でも確かにいろいろなものを少しずつ聴いて来たんだなっていうのは自分でも思いますね。
――じゃあ、デビューに当たって勉強しようとかそういうわけではなかったんですね?
森:そうですね、今まで聴いて来なかったけど必要だから聴こうとか、そういう意味で聴いた曲っていうのは、そんなに記憶にないですね。自然にそういうものを聴いてて、それがもちろんデビューするからとかプロになるんだからっていうので知っておかなくちゃいけないっていうことはあると思うので、その幅は広がりはしましたけど、無理して違うものを聴いてとかそういうことはないですね。
――自然な流れでという感じなんですね。
森:はい。
――それでは今回3枚のシングルを出して遂にデビューアルバムが出るんですけれども、シングルというのも特別だとは思いますが、デビューアルバムというものもまた特別だと思うんですよね。デビューアルバムをリリースする今のお気持ちを教えて頂けますか?
森:充実感というか、インターバルを空けながら1年間ぐらいかけて録ったので、ようやく完成したなっていうのがありますし、一番何よりも嬉しいなと思うのは、シングル曲だと僕はこういうバックボーンを持って、こういう音楽をやって来た人間なんですけども、この曲はその中でもこういう部分を出した曲ですとか、今回は違う部分のこれを出しましたとか、そういうことが場合によっては言い訳的なことにもなりかねないなっていう気がしてて。
そういう意味ではアルバムでは僕の思いつく限りのバリエーションっていうのを12曲の中に詰め込めたと思うので、そういう言い訳が必要ないというか、僕自身、好きな音楽っていうのはこういう音楽ですっていうようなその一言だけで提示出来るっていう自信はありますし、そういう喜びっていうのは一番感じますね。
――ではこのデビューアルバム「OPUS ONE」は自分ではどんなアルバムに仕上がったと思いますか?
森:すごくバリエーションが付けられたと思います。バリエーションを付けながらも意外と僕らしい個性が、意外といろんな曲のそこここに見られて、僕が思い描いていたよりも僕のカラーっていうがよく出ていて僕らしいアルバムになったんじゃないかなと。
デビュー前とか作り始める前っていうのは、プロとして12曲っていうまとまった作品を作るとなるとプレイヤーとか他の人の手も入って来たりするので、もうちょっとよそよそしい作品になるのかなと漠然と思ってたんですけども、でも意外と出来てみると僕が家で楽しみながら作ってるもののあくまでも延長だなっていう感じがして、その辺は自分としてはすごく良かったなと思います。
――今回のアルバムに向けて聴きどころというのを語るならばズバリどんなところでしょうか。
森:そうですね、聴きどころっていうのはなかなか自分から強いて言いたくないなっていうぐらいのつもりがあって(笑)。
――えぇ(笑)。
森:そう言っちゃうとその時点でまた言い訳っぽくなっちゃうっていうか、その部分を聴けっていう押し付けみたいなことはあんまりしたくないので。自分自身ではもちろん聴いてほしい部分とかはたくさんあるんですけど、でもそれはいろんな形でいろんな部分に現れていると思うんです。そのどれかに反応してこの曲良いなと思ってくれると、それで僕としては充分だったりもしますし。
でも一つ言えるのは、音楽が好きな人に聴いてほしいなと、純粋にどんなタイプの音楽がとかジャンルでどうこうってものは抜きにして、単に音楽を聴くのが好きだっていう人に喜んで聴いてもらえるとすれば、僕としては一番うれしいなと思いますね。
――今回のアルバムを聴いていて個人的に思ったのは、まず森さんと同年代の方というのはもちろんとして、30代、40代の方も何だか懐かしいなとか思ったりする部分もあると思うんですね、サウンドの作りとか。そういう意味で広い層に楽しんでもらえるんじゃないかなって気はしますね。
森:そうですね、そうだとうれしいなと思いますね。僕自身、自分と同年代とかそれより下とかそういう聴かれ方をするよりも、やっぱり音楽として愛されたいっていうのがあるので。ファッションとして愛されたいというよりも音楽として愛されたい、僕としてはそういうニュアンスの気持ちがすごく強いので、いろんな人から支持されるとうれしいなと思いますね。
――世代を限定しないのはある意味、強みではありますよね。
森:そうですね。
――では、今回のアルバムを作る上で苦労した点はありますか?
森:苦労した点はですね、実際に音楽に関して苦労したっていうことじゃないんですけど、スタジオっていう特殊な環境の中で、音楽を作って行くっていうことに慣れるのに時間がかかったっていうのはありますね。デビューするまでは全くスタジオに入ったこともなかった人間なので、いろんな人が見守る中で作って行くっていうのは、自分の家でやるのと全然心持ちが違っちゃったりしてたので。
だからそういう不安に備えて家で全部準備をして行って、スタジオで決められたメニューをこなすっていう作り方を最初はしてたような気がするんですけど、でもそれって結構勿体ない話だなと。
勿体ないしスタジオで出てくるアイデアを知らず知らずのうちに見過ごしちゃったり、殺しちゃったりしてるんじゃないかなーと思って、もっと肩の力を抜いて例え決めきらない部分があったとしても、まぁ、これはスタジオで考えれば良いっかぐらいのつもりで、曲のデータとかアイデアをスタジオに持って行って、スタジオでちゃんと頭を使って活性化させて音楽を作るっていう作業をやるっていうのが後半になって出来て来たなっていう実感はありますね。
――デビューしてそして今回のアルバム完成までという中で変わった面というのは出て来てるっていうことですよね、成長したりとか。
森:そうだと思いますね。もしかすると自分にしかわからない部分なのかもしれないですけれど、でも作品を聴けば僕自身やっぱりそう思いますし、そういう部分は少しずつどんどん外にも、完成したものにも形として表れて行くと思います。これからもずっとそうだと思いますし。
――では森さんが曲を作る上でのこだわりはどんなところにありますか?
森:最初の核になるアイデアというかイメージとか、そういうものを忘れないようにしながら、それを思いついた自分のセンスを信じるということですかね。それを広げて行く為にはいろんな知識とか論理的な組み立てとか、そういうものの力を借りながら曲は作って行かないといけないと思うんですけど、でも最初に何の理屈もなしに出て来たアイデアとか核っていうものを殺さないように生かし続けながら、曲を完成させて行くっていうのが、いつも心掛けていることではありますね。
――曲を作る時ってあんまり悩まず出来ちゃうんですか?
森:そういう曲もありますし、悩んで悩んでまた何日も置いてもう一回悩んでみたいな曲もありますし、全部マチマチですね。キーボードの前でしか作らない曲っていうのもありますし、大分頭の中で組み立てちゃってから、最後の仕上げとしてキーボードの前に座る曲もあります。まぁ、いずれキーボードの前には座るんですけど、でもキーボードの前に座る気持ちとかも大分違ったりするので、逆にそれを決めきった作り方をし始めちゃうとつまらないだろうなと自分自身で思ってるので、そこは意識して敢えて逆にやってるところですね。
――詞は結構悩まれたりするんですか?
森:そうですね・・・、それもマチマチなんですけど。
――場合による・・・。
森:えぇ、曲によっては3番までしかないのに、ほんとは10番近くまであるだろうっていうくらいまでいっぱい書いて(笑)、その中からいらない部分を削ったっていう曲もありますし。かと思えば、もう最初にデモの段階で出来てたのが、そのまま今の歌詞になって、ほぼ修正なしで使ったみたいな曲もあります。
でも歌詞はかなりいろんなシチュエーションで書くようにしていますね。パソコンの前に座って曲を聴いて曲をいじりながら歌詞を考えたりとか、紙とエンピツだけ持ってゴロゴロしながら書いたりとか。(笑)
――そうなんですね、ビシッと「さぁー作るぞー!」って言って作るのかななんて思ってたんですよ。
森:いや、そういう時に限ってダメなことが多いんで(笑)、出来るだけ関係ないような雰囲気作りをしながら、実は頭はどっか冴えてるみたいなね。そういう風な自分に持って行けるようにいろいろ試してるっていう感じですね。
――それでは少しプライベートっぽいことをお伺いしようかと思うんですけれども、まず影響を受けたアーティストというのは誰なんでしょう。
森:一人挙げるとすればスティービー・ワンダーで間違いないと思うんですけど、でも洋邦問わず、ジャンル問わずいろんなものを雑多に聴いて来てるので、それこそ僕、クラシックピアノやってたから、クラシックの作曲家の人も大いに影響を受けてますし、スティービー・ワンダーとソウルとかR&Bとかそういう人達もたくさんいますし、ジャズもそうですしいろいろですね。
――いっぱい聴いてる感じですね。
森:なんか良いとこ取りをしてる意識がありますね、自分としては。
――そうなんですか。(笑)
森:自分が好きだなと思うエッセンスってところだけを抜き出しちゃうっていう、人によってはそれは上っ面だけだっていうことになるのかもしれないですけど、それが僕の血となり骨となり肉となって行ってるなっていう実感もあるので、そういう聴き方でそういう取り入れ方をして来たなっていう気がしますね。
――でもそれは考え方によっては、広い視野でものが見れる意味でもありますよね。
森:そうだと思いますね。
――なんかこうR&Bだけだーとかいうんじゃなくて、他のいろいろ良いところも吸収してるっていう。
森:そうですね、ジャンル分けってある意味、便宜上のことだと思いますし、それに捉われて音楽を聴くってのもつまらない聴き方だと思うので、その辺は意識せずに柔軟に聴こうと思ってます。
――それでは次の質問に移りますが、森さんは自分自身を客観的に見たらどんなタイプの人だと思いますか?
森:あのー、理屈っぽいってのはすごく言われるんですけど。
――そうなんですか?(笑)
森:(笑)曲を作っててもそういうところは大いに役に立つんですけど、でも意外に激しやすいというか、感情の起伏が激しかったりして、そういう部分っていうのもやっぱり曲に現れてる気がするんですよね。
さっきも言いましたけれど、曲のアイデアとか核になる部分っていうのは別に僕が理論的に考え抜いて生み出したものってわけじゃなくて、ポンッと出て来たものだったりするんで。そういうものを補ってやるために、その論理的な思考とか理屈っぽさとか、そういうものも必要なんじゃないかなと。
――じゃあ・・・、一見、理論派な・・・。(笑)
森:一見、理論派な(笑)、時に理不尽なこともあるという感じだと思いますけど(笑)。
――(笑)、それでは将来は例えばどんなアーティストになりたいと思いますか?
森:将来に限らず今もそうなんですけど、まず聴いている人に対して何かしらの感情を、感動って言っちゃうとすごく当たり前の表現なんですけど、でも僕の曲をかけることによって、その人がいる空間の色が変わったりとか、匂いが変わったりとか、温度が変わったりとかって、そういう感覚を与えられるような、そういう音楽を作りたいと思ってますし。
将来的には自分自身が何か先頭に立って新しいムーブメントとか流れとか、そういう新しい流れが生まれて来るような、そういう部分の先頭に立っていたいなという思いはあります。音楽家としてそういう風な人物になれれば、ある意味ライフワークかなっていう気もしますし。
――夢がたくさんって感じですね。
森:そうですね、うん。
――それではお勧めのアルバムを1枚紹介して頂けますか?
森:そうですね・・・どうしようかなぁ、僕が単純に最近聴いてるのは、エリック・ベネイの新譜「ハリケーン」なんですけど、ボーカリストとしても大好きですし、アレンジもなんかすごく「あ、面白いな」と思える、クリエーターに対して親切というか(笑)、それは僕の勝手な見解なんですけど、エリック・ベネイという人自身がそうなんですけど、作り手として刺激を受けるような部分っていうのが多い気がするので、新作もすごい面白いのでよく聴いてるんです。お勧めですね。
――じゃあ、エリック・ベネイをお勧めということで。
森:はい。
――次の質問はちょっと抽象的なんですけど、森さんにとって音楽とは何ですか?
森:(笑)、すごくむずかしいですね。少なくとも言えるのは、音楽のない状態で生きて来た瞬間っていうのがないので、音楽がなかったらどうこう、音楽がなければ生きて行けないって言っちゃうのも簡単ですけど、でもそういう安易な想像さえも僕自身はやっぱり出来ないなと思って。
なんなんですかねぇ、体の外から入って来る音楽もそうですし、そうじゃないとしても僕の内側から鳴り出してる音楽っていうものもあると思うので、音楽無しには何事も考えられないっていうのが正直なところなんで、簡単に言うと僕の一部なんですかね。それはなんかクサくてイヤですね。(笑)
――(笑)
森:なんか言いたくないんですけど(笑)、でも要約するとそういうことなんだと思います。
――うーん、なくてはならない。
森:なくてはならないですね。もしなければっていう仮定は僕にはないですね。(笑)
――ありえない。
森:仮定さえもありえない、そういうものだと思います、はい。
――それでは当面の今後の目標っていうのを教えて頂けますか?
森:アルバムが完成してアルバムを製作する中で見えて来たこととか、自分自身を冷静に見つめて、その強みも課題も含めてプラスマイナスいろんな面が見えて来たので、それを次以降の作品に反映して行くことっていうのが、目標というよりも今のやりがいっていうのに近いですけれども、そういうモチベーションが今すごく高いので、意気揚々としているところですね、はい。(笑)
――(笑)
森:これが最初のアルバムですけれども、出すごとにやっぱり僕自身、成長してたいと思いますし、どういう成長かっていうのは出来てみないとわかんないですけど、少なくとも自分でより良いと思える作品を作り続けて行きたいなと思います。
――はい、それでは最後にみなさんに向けてメッセージをお願いします。
森:言い訳せずに聴いて下さいって言えるアルバムが出来ました。是非、先入観なし聴いてそれが好きだと思ってもらえたら、僕にとっては何も言うことはないです。そして次回作以降にも期待してほしいなと思います。
――ありがとうございました。
(Text By Takahashi)