「ヴァンパイア(吸血鬼)」と「ライカン(狼男族)」。種族の存亡を巡る長く熾烈な争いに終止符を打つべく、ヴァンパイアの女戦士セリーン(ケイト・ベッキンセール)の命を懸けた過酷な戦いが、今、まさに始まろうとしていた。セリーンは長年死闘を続けてきた宿敵、ライカン族が、マイケル(スコット・スピードマン)という若い人間の医師を執拗に追いかけていることに気付く。ライカンが良からぬ陰謀を画策していることを直感したセリーンは、マイケルを救出し、一族の屋敷に連れ帰る。人間との接触を禁じる掟に背いたセリーンは、ヴァンパイア一族の眠れる指導者・ビクター(ビル・ナイ)の指示を仰ぐべく、その封印を解く。それは両種族の秘められた過去をめぐる、壮大な物語の幕開けだった・・・
近年は戦う女性が主人公のアクション映画が台頭しているが、本作「アンダーワールド」でも新たな女戦士が誕生した。人知れず、数百年に渡る死闘を繰り広げてきたヴァンパイアVSライカンの壮絶な戦いの渦中で、ヴァンパイアの刺客的存在のセリーン。「パールハーバー」「セレンディピティ」などで、おとなしめな演技を披露していたケイト・ベッキンセールが新境地開拓でセリーン役に挑んだ。はっきり言って、これまでの出演作の彼女からはまったくもって想像が出来ないぐらいに大変身してくれた。これぞ秘儀・女優百面相の持つ魔力だ。ミシェル・ファイファーが「バットマン・リターンズ」でキャット・ウーマンを演じたときもギックリ腰寸前の衝撃度だったが、本作でもそれに近いぐらいのインパクトはある。「パールハーバー」と合わせてご覧いただければ一目瞭然。
女戦士映画はいろいろあるが、闇に潜むセリーンの姿は実に貫禄十分で魅力的だ。何よりも、ゴシック調の建築物に降りしきる雨、暗く黒い闇の世界にとことんこだわった映像がセリーンの存在感をより一層引き立ててくれる。ケイト・ベッキンセールは、本作の監督であるレイ・ワイズマンと婚約をしたとのことだが、劇中の彼女は実にダークな色気を醸し出している。監督が恋をしてしまったのではケイト自身ではなく、セリーンだったのかもしれない。 全米で初登場第一位を記録し、全世界で興行収入9000万ドルの大ヒットとなった本作は、すでに第二弾の制作にも入っていて、2005年公開予定となっている。戦う女戦士への期待は高まるばかりだ。 (text by ohishi) |
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