■ストーリー
ロックに心酔し切っているダメバンドマン、デューイ(
ジャック・ブラック)は、自らが組んだバンドを首になり、居候先からも追い出される寸前。滞納した家賃2200ドルを稼ぐために同居人になりすまし、代用教員として名門小学校に潜り込む。金だけが目当てで全くやる気が無かったデューイだが、生徒たちの音楽の才能に気づき、毎日子供たちにロックを教え込む。

挙げ句の果てには学校だけでなく生徒すらも騙し、バンド「スクールオブロック」を結成。かねてからの夢、バンド・コンテスト優勝を目論むが…。
■全米№1教師の正体!?
いったい誰なんだ、あいつは!!この映画を見た人なら真っ先に抱く思いだろう。脂肪たっぷりのその体からまったく想像できない切れのある動きと圧倒的な歌声で僕らの度肝を抜いてみせた。その名も
ジャック・ブラック。日本ではあまり知られていないがアメリカでは
テネイシャスDというコミックバンドを組み、あの「
マルコビッチの穴」で知られる
スパイクジョーンズ監督が自らプロモーションビデオの撮影を志願するほどの人気者だ。そんなジャック・ブラック本人がはまり役と称したロック馬鹿の教師を大熱演。決まった道を歩いたことのない男と決められた道しか歩いたことの無い子供たちの異色のコラボレーションを見事に作り上げる。

今まで誰にも認められることがなかった男によって輝き始める子供たちの個性。自分の認め方を教えてくれるジャック先生の授業に思わず熱いものがこみ上げた。劇中でJBが子供たちに歴史の授業と称して、「ロック史」を説く場面があるが、実はこの黒板、監督のリンクレイターの直筆である。かねてからロックを題材にした映画を撮りたいと熱望していたリンクレイターの熱きロック魂を感じることができるだろう。
■天才子役たち
バンドメンバーのオーディションに五ヶ月かけ、さらに演奏のリハーサルには10週間をも費やした。リード・ギターのザック役のジョーイ・ゲイドス・ジュニアは音楽を学ぶ夏のプログラムから発掘された。ベーシストのケイティ役のレベッカ・ブラウンは、実際に11歳のクラシック・ギタリストであり、キーボードのローレンス役のロバート・ツァイは、12歳のクラシック・ピアニスト、そしてドラマーのフレディ役のケヴィン・クラークは、シカゴの公開オーディションから選ばれた。正につわもの揃いのこのメンツ。そしてとどめは子供たちの音楽アドバイザー、
ジム・オルーク。あの
ソニック・ユースとも組んで活動しているUSオルタナティブの雄である。

■音楽
この映画をさらに楽しむには予習復習は必須。サウンドトラック参加アーティストは、7月に遂に初来日の
ザ・フーをはじめ、
レッド・ツェッペリン、
ドアーズ、
クリーム、
T-レックス、
ラモーンズの超王道から、
ストゥージズのギターリストRon
Asheton、
ソニック・ユースのThurston
Mooreらの豪華メンバーによる
ワイルド・ラッツ(ストゥージズのカバー曲を演奏)、超大型異端バンド、
ザ・ダークネスなど、新旧ロック界全体から後押しを受けたような布陣。忘れてはいけないのは、主人公デューイのトレードマーク「半ズボン制服
& ギブソンSG」の元ネタでSCHOOL OF ROCKバンドがカバー曲を演奏している
AC/DCは必聴!この映画には、ROCKを聴けば聴くほど奥の深まるネタが盛りだくさん。これを期にROCKバカになんなきゃ、なんになる?!
(text by fukushima, e-oishi)