「雨の季節に戻ってくる」という言葉を残し、妻・澪(竹内結子)は先立った。残された巧(中村獅童)と6歳の息子・佑司(武井証)は、男二人で何とか生活していけるという有様ではあったが、それなりに幸せな毎日を送っていた。
そんな彼らの前に、1年前にこの世を去ったはずの澪が言葉どおりに梅雨の始めに突然現れる。彼女は、巧と佑司、そして自分自身のことも含め、全ての記憶を失ってはいたが、まぎれもなく澪そのものだった。巧と佑司は、戸惑いながらも戻ってきた澪を温かく迎え入れ、こうして3人の『家族』としての生活が再び始まる。
「澪を幸せにしてやれなかった」と思い続けていた巧。
「ママは僕のせいで死んでしまった」と思い続けていた佑司。
2人は突如として訪れたセカンド・チャンスである澪との生活を、日々大切にしていこうとするが、季節は無性にも移り行き、夏を迎えようとしていた。
原作と映画の微妙な表現の違いを楽しんでみるのもオススメ!
特に、映画には活字の表現を補おうとする様々な小道具が登場します。
1.澪作の絵本
佑司のために澪が描いた絵本。絵が上手だった澪は、自身の死と雨の季節の奇蹟を予感させる物語をこの絵本に残した。
2.澪の日記帳
高校時代から澪が書き続けていた日記。ここには、澪の巧や佑司への思いや今回の奇蹟が起きる過程など、全ての「真実」がつまっている。
3.逆さづりのてるてる坊主
澪が雨の季節にやってくると、佑司はこの逆さづりのてるてる坊主を学校や家に吊るし始める。佑司は澪の残してくれた絵本から、雨の季節が終わってしまうと、澪が自分の元から消え去ってしまう事を何となく予感していたのだ。
4.ブリキの宝箱
澪が巧には内緒で生前に佑司と一緒に埋めたブリキの宝箱。ここには澪の日記帳と巧とやり取りした手紙が入っている。が、佑司に鍵を預けたものの、佑司は宝箱の正確な隠し場所を忘れてしまっていた。
5.バースデーケーキ
映画の冒頭で、18歳の佑司に届けられるバースデーケーキ。果たして、このケーキは一体誰からの贈り物なのか?
その他にも、3人の住居や散歩スポットの廃工場など、全てのセットにも要注目!
そこには、物語の筋としてはファンタジーなこの作品にリアリティーを加えさせる細部にわたる工夫がされています。
単なる蘇り系の物語ではない、誰の心にもある様々な愛の物語を凝縮させた3人の世界へ、あなたも「いま、会いにゆきませんか?」