第60回ベネチア国際映画祭監督賞受賞。北野武監督・主演の『座頭市』がDVDで登場! |
座頭市 邦画|発売日:2004/03/11|DVD 3990円(税込) |
座頭市北野監督の11作目は初の時代劇にして最強のエンターテインメント!! オキテ破りの金髪の座頭市。ルールなし、講釈無用の離れ業で、誰も見たことのない時代劇を作り上げた!! 座頭市と対決する浪人・服部を浅野忠信、服部の妻・おしのを凛とした美しさで魅せた夏川結衣など、実力派若手陣に加え、大衆演劇のスター橘大五郎が妖艶な舞で色を添える。また、大楠道代、岸辺一徳、石倉三郎、榎本明などのベテラン勢が脇を固めて重厚感を出している。さらに、この作品をよりエンターテイメント性の高いものとする、非常に重要な要素のひとつとなる音楽を担当したのはムーンライダーズの鈴木慶一。そしてなんと言っても、北野監督のタップの師でもあるHIDEBOH率いる若手タップダンサーチーム“THE STRIPES”によるラストのタップシーンは圧巻!! 着物と下駄で躍動感溢れる終盤の見せ場を演出している。時代劇の枠を超えた超話題作!! | |||
座頭市 オリジナル・サウンドトラック
サントラ
発売日 2003/09/03 |
アルバム
CD
メーカー在庫あり:1-3日
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2934円(税込)
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北野武監督第11作目は、勝新太郎による殿堂入りの名シリーズ『座頭市』のリメイク。ベネチア国際映画祭での監督賞受賞のほか、ヨーロッパのアカデミー賞といわれている第16回ヨーロピアン・フィルム・アワード非ヨーロッパ映画部門にもノミネートされています。リメイクといっても、オリジナルからの引用は名前だけ。居合の達人にこそ変わりはありませんが、キャラクター設定はまったく異質のもの。時代劇ではおきて破りの金髪であることはつとに有名だし、目もしっかりとつむっています。この神聖な(!?)座頭市物語のなかで、まぶたの上に目を描くという化石もののお約束芸を披露するなど、閉じた目そのものを活かした見せ場がいくつか用意されており、いずれの挿話も関心を引きつけます。ひとつひとつを挙げていてはキリがないので、そのあたりはご自身の審美眼でご判断ください。
「何? あの座頭市が!?」などと憎々しくつぶやく悪者のように座頭市の強さを“わざわざ”説明してくれる人物がいない代わりに、のっけから雨に打たれての静かながらも激しい殺陣が展開し、スマートに「最強」をアピール。六平直政とその手下どもによって繰り広げられるこの立ち回りに限ったことではありませんが、刀を扱ううえで起こりうるトラブルを細かく描写している点にも注目したいところ。たとえば、刀を鞘から抜くときにうっかり自分の手を斬ってしまったり、斬りつけたはいいが刃が食い込んで取れなくなってしまったり、と。よほどの毛量でないと結えないようなぶっといちょんまげと不自然極まりない生え際を持つお侍さんが、まるでおもちゃのように刀を振り回すそれとは一線を画しています。時代劇マジックを無視した含蓄のあるチャンバラは、北野武の時代劇初挑戦が吉と出たためか、はたまたビートたけしが人の揚足を取るような冗談を得意とするためか。
街道筋での一戦を終え、ある宿場町に入った市。この日、もう2組の旅人がやってきます。ゆえあって師範代の身分を捨てた浪人、服部源之助(浅野忠信)と病気の妻おしの(夏川結衣)に、旅芸者のおきぬ(大家由祐子)、おせい姉妹。それぞれの事情を抱えた彼らが、ヤクザの銀蔵(岸辺一徳)と商人の扇屋(石倉三郎)が仕切るこの町に足を踏み入れたことから血なまぐさい物語の幕が上がります。さて、ヤクザに市とくれば賭場がつきもの。市が助けたきっかけでその家に厄介になっているおうめ(大楠道代)にとがめられながらも、銀蔵一家の賭場に入り、れいのごとく毛嫌いされます。そこで知り合うのが遊び人の新吉(ガダルカナル・タカ)。恐れ多くも市のまぶたに目を描き、鑑賞者の笑い(苦笑も)を誘った当人です。新吉は映画を緩和させる重要なポジションを担っています。きっとこのパートがなければ、「市による救済劇」を述べただけのものとなっていたでしょう。北野版の市はワルっぽさに欠けるのも事実です。もりあげ役といえば、本作で必ずといっていいほど話題にのぼる下駄タップシーン。銀蔵一家との悶着がひととおり片づいた後、「よかったね!」といわんばかりに町まつりでお目見えするそれはラストを飾るにふさわしい豪華さを持っています。クライマックスのためだけに影を潜めているのではなく、前半、中盤、後半それぞれに伏線が張られている点も心にくい。でも、ラストを締めくくるのはあくまでも市自身。本編中、悪びれもせずに終始ピンと張り詰めていた彼がここにきてようやく緊張をほぐします。やわらいでいるようには“どうやったって見えない”んだけど。