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高峰秀子が愛した男
斎藤明美/著
目次
「かあちゃんは小さい時から働いて、働いて…。だからきっと神様が、可哀そうだと思って、とうちゃんみたいな人と逢わせてくれたんだね」
「とうちゃんはハンサムだからね」 「とうちゃんは子供の頃、あだ名が『キュウリ』だったんだって」 「僕はボーっとした子供で、頭も悪かった。いつも友達に苛められてましたよ」 「とうちゃんが子供の時、その頃はお醤油って量り売りだったから空き瓶を持って買いにいくんだけど、とうちゃんがお使いでお醤油を買って帰ってきたら、玄関でいきなりお父さんに殴られたんだって。洟を垂らしてるって。ひどいでしょ。でもとうちゃんは兄弟の中で一番偉くなって、お父さんに家を建ててあげたのよ」 「なんて素直な人だろうと思った」 「夢のようでしたよ」 「私みたいなノータリンでいいのかしらと思った」 「我慢の向こうには必ず笑いがある、幸せがある。必ず期待するものが見えるはずだと、僕は信じてます」 「土方やってでも養っていきます」〔ほか〕

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