商品説明
田中正造は、谷中の戦いの中で、己れの生をキリスト教の信仰に委ね、現実にしっかり足を据えて神の道=人の道を歩むのであるが、それは宗教的人間になることではなく、「人間になる」ことであった。彼のまなざしは、この世が進歩と力と未来を夢みる中で、しっかと終末と裁きを見据えていた。彼は、死の直前、“大雨にうたれたゝかれ重荷挽く 牛の車の跡かたもなし”と、自分の戦いの生涯を歌に表しているが、しかし今日、彼の戦いの跡は鮮やかに甦り、比類なく現代的意義をもって我々に迫まってくる。死に瀕した田中正造の最後の祈りは、「現在を救い給へ、現在を救い給へ、ありのままを救い給へ」であった。
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