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百人一首(河出文庫 こ25-2 古典新訳コレクション 17)
小池昌代/訳

目次
秋の田のかりほの庵のとまをあらみわがころもでは露にぬれつつ 天智天皇 春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山 持統天皇 あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麿 田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき 猿丸大夫 かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける 中納言家持 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも 安倍仲麿 わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり 喜撰法師 花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に 小野小町 これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関 〓丸 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟 参議篁 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ 僧正遍昭 筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる 陽成院 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに 河原左大臣 君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇 立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む 中納言行平 ちはやぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くくるとは 在原業平朝臣 住の江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ 藤原敏行朝臣 難波潟短き蘆のふしの間も逢はでこのよを過ぐしてよとや 伊勢 わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ 元良親王〔ほか〕


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