目次
第1章 文政五年(一八二二)・第一波―史上初のパンデミックと激変の中央政界(江戸末期、日本にコレラがやってきた
「奇病」は、大坂で『三日コロリ』と呼ばれた
コレラの翌年やってきたシーボルトの功罪
シーボルト事件が、日本を世界に知らしめた
「天然痘」と闘った医師・緒方洪庵の登場
鎖国の終わりが「パンデミック」の始まりになった
突然の開国に、貿易国「オランダ」の対応は?
伝習生を教育したオランダの三人の軍人・軍医
中央政界でのし上がった彦根藩主・井伊直弼
将軍継嗣問題と日米修好通商条約
「南紀派」井伊直弼と「一橋派」島津斉彬の対決を経て
もともと将軍になる気はなかった徳川慶喜)
第2章 安政五年(一八五八)・第二波―封じ込んだ「長崎」と感染爆発の「江戸」(西洋技術を最も早く導入した薩摩藩主・島津斉彬
安政五年(一八五八)のコレラ、ついに日本上陸
蘭医・松本順がかかったコレラの症状
攘夷思想のなか、長崎でコレラと闘った軍医ポンペ
感染を封じ込めた、医師の奮闘と長崎奉行所の対応
コレラ蔓延をきっかけに攘夷思想が爆発する
日本初の西洋式病院の誕生と島津斉彬の遺産
江戸のオーバーシュートとデマの蔓延
焼き切れない棺桶が積み上がり、腐臭を放つ地獄絵図
三年前の地震、二年前の台風から立ち直っていなかった
さっぱり効果がなかった「幕府」のお達し
富裕層が白米を配布した「品川宿」、幕府も支給米へ
安政五年のコレラに散った有名人たち)
第3章 安政六年(一八五九)・第二波、翌年―全国的拡大と桜田門外の変(江戸から全国への蔓延と立ち上がる蘭医
実力行使に出た井伊直弼の「安政の大獄」
思想犯、政治犯の一斉投獄とコレラの終息
長崎でポンペから直接指導を受ける松本順
コレラによる偏見から解放されたポンペ
ついに「桜田門外の変」が起こる
暗殺実行部隊の戦いとその後
実行グループの薩摩藩士は藩主黙認だった
幕府のバランス路線転向と蘭医の時代)
第4章 文久二年(一八六二)・第三波―緒方洪庵と松本順、歴史の表舞台へ(春に「はしか」で夏「コレラ」、最大規模の危機
緒方洪庵、蘭医で初めて幕府の「奥医師」となる
松本順、幕府の西洋医学所副頭取になる
幕末維新のカギを握る大名・島津久光
文久二年の国際問題「生麦事件」の顛末とは
緒方洪庵の急死と薩英戦争で時代は変転する
長州藩がついに「蛤御門の変」で挙兵する
二度の長州征伐の功罪とは
『松本順日記』にみる新選組局長・近藤勇
幕府奥医師・松本順が戦った幕末維新
不平士族の反乱を誘発した「秩禄処分」
日本史最後の国内武力衝突「西南戦争」
西郷自刃と並行して進んだ明治十年のコレラ
長崎から鹿児島に船で来た巡査がクラスター
安房の医師・沼野玄昌を襲った「無知の悲劇」
あとがきにかえて―その後の松本順)
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