■清代知識人が語る官僚人生 (東方選書)
■山本英史/著
商品説明
清代の知識人がめざした官僚人生とは何だったのか。科挙に合格できる受験能力と官僚として生身の人間に対処する実務能力とはまったく性質の異なるものであり、そこでの成功、というより失敗しないことは科挙に合格するよりも難しかった。そこで、科挙に合格して、知県という県の長官を担当し、役人のためのハンドブックである官箴書『福恵全書』も著わした黄六鴻なる知識人を本書のナレーターとして、「順調な官僚人生」を歩むのには、いかなることが重要だったのかについて語ってもらった。黄六鴻は『福恵全書』を通して当時の県政のコツを後進の知県たちに伝授し、任地の住民に書名が示すような「福恵」を施す「義」の実践を期待したに違いない。だが実際のところ、黄六鴻およびその忠告を受けた後輩知県たちによって治められた民衆は果たして「福恵」を享受したのであろうか。そこにはまさしく儒教政治の理想の下に統治された人々の現実が垣間見られる。
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