「ウルフズ・レイン」は、「COWBOY BEBOP」のスタッフ達による意欲作だ。独特の作風に定評ある監督・岡本天斎が指揮し、キャラクターデザインの川元利浩がシャープで圧倒的な存在感のある「狼」を気高く描き、音楽が場面に彩りを与え、見る者をぐいぐいと引き込んでいく映像を作り上げている。

音楽を手がけるのは、世界に通じるとまで言われる（もはや通じている、か）菅野よう子 。映画音楽やアーティストのプロデュース、アニメーション音楽からCM音楽（例えば、2002年の資生堂「ピエヌ」（「女力の目」篇（イメージモデル：伊東美咲））など）まで幅広く活躍している。その音楽の才能は、まったく底が見えない。「ウルフズ・レイン」においても、その手腕はいかんなく発揮されている。
ちなみに彼女の旦那さんは、チェリストで作曲家の 溝口肇 である。フジテレビ｢時の薫り｣ やテレビ朝日｢世界の車窓から｣などのＣＭ音楽を手がけている人、と聴けばその音楽は聞き覚えがあるかもしれない。また「やんパパ」「眠れぬ夜を抱いて」などのドラマや映画の音楽も多数手がけている。溝口肇がいるところ菅野よう子の音楽あり、菅野よう子のいるところ溝口肇の音楽あり、と言えるほど夫婦での楽曲制作、演奏も少なくない。

エンディング・テーマ「gravity」を歌うのは、声優として活躍している 坂本真綾 である。菅野よう子の音楽ももちろんだが、彼女自身の情感豊かなヴォーカルとみずみずしい感性が、素晴らしいできに仕上げている。他にも、ラジオのパーソナリティや洋画の吹き替え（「スター・ウォーズ エピソード1（日本語吹き替え版）」クイー ン・アミダラ役など）や2003年7月11日から帝国劇場にて上演されるミュージカル 「レ・ミゼラブル」（東宝）でエポニーヌ役で出演するなど活動の幅を広げ、これからますます楽しみなアーティストである。